ユーチューブ、ドイツでのヴィデオ・クリップのアップロードを巡って敗訴


動画サイトのユーチューブはドイツにおけるヴィデオ・クリップのアップロードをめぐって戦ってきた裁判で4月20日に敗訴した。

裁判はドイツのアーティストの楽曲についての著作権印税を管理する団体GEMAが起こしたもので、GEMAは著作権保護されるべきヴィデオ・クリップなどの動画がアーティストに無断でアップロードされないようにユーチューブが充分な措置を講じていないと訴えを起こし、裁判所は4月20日にこの訴えをほぼ認めたとBBCが伝えている。

今回GEMAはヴィデオ12本に対して訴えを起こしたが、裁判所はこのうちの7本についてGEMAの言い分を認め、ユーザーがアップロードするコンテンツについてはユーチューブが責任を負うべきだと指摘し、GEMAが著作権を管理するヴィデオがアップロードされた場合にはまずそれを察知するフィルターを導入するようにユーチューブに要請したという。

もし今回の判決がそのまま施行されることになると、ドイツのユーチューブにアップロードされる全動画についてのクリアランス確認作業が必要になるため、アップロードにかかる時間に相当な影響が出そうだとのことだ。なお、GEMAはドイツに拠点を置くアーティストやミュージシャンの著作権管理を請け負っている団体で、およそ6万人のアーティストの著作権管理業務を代行している。

その一方でユーチューブは今回の裁判によっても、ユーザーがアップロードするコンテンツについてまでは責任を負えないと発表している。「今日の判決は、ユーチューブはサイトにアップロードされる全動画のコンテンツの管理は負うことはできないことを確認するものです」

さらにユーチューブ側はこう続けている。「ドイツにおける音楽ライセンス問題については、アーティスト、作曲家、作家、出版社、レコード会社、そしてより広範なユーチューブのコミュニティの全員にとって利益となるような解決を見出すことに尽力していく所存です」

ユーチューブとGEMAは著作権使用料をめぐる交渉が座礁してから2010年に法廷で争っており、09年には交渉の不調により、ドイツのレコード会社の動画はすべてユーチューブでブロックされる事態にも至っていた。

GEMAはこれまで著作権の支払いなしにドイツで運営されているサイトに対して強硬に臨んでいて、2009年にはファイル共有サイトのラピッドシェアにアップロードされる音源ファイルのフィルタリングを義務付ける裁判所例をかちとっている。また、音楽ストリーミング・サイトのグルーヴシャークはGEMAの要求する印税が高額すぎて採算割れしてしまうという理由から、ドイツでの営業から撤退している。

その一方でユーチューブはアメリカの音楽著作権代行業者の団体NMPAとも4年間の係争を経て先頃和解に応じている。和解案により、ユーチューブはNMPAが代表するアーティストらへの著作権使用料としてNMPAへの一括ラインセス料の支払いに合意した。


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