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今年のEARTH STAGEのカウントダウンが、特別なものであることは言うまでもないかもしれない。忌野清志郎。2006年7月に喉頭癌と診断されたことを公表。それ以来、闘病生活を続けていたが、いよいよ本格的なライヴ復帰の場が、このCOUNTDOWN JAPANの場になる。23:05、時間通りにバンドメンバーがステージに現れた後、MCの紹介を受けて遂にステージに現れる。執事を連れて、黄金のガウンを羽織っている。そして、それを脱ぎ捨てた下は赤のスーツ。紛れもない。清志郎である。日本のソウル・ミュージックのキングが帰ってきたのだ。NICE MIDDLE 、NEW BLUE DAY HORNS、そしてRCサクセションのドラマーだった新井田耕造、清志郎を支えるのも錚々たるメンツである。

1曲目の“JUMP”が終わって清志郎はこう言った。「俺を応援してくれた、すべてのやつに感謝します。勇気をくれたすべてのやつに感謝します。おかげさまで、復帰しました、Baby。1年7ヶ月ぶりだぜ、ベイベー」。“涙のプリンセス”“誇り高く生きよう”、曲を重ねていくごとに、声はどんどん張りのあるものになっていく。驚異的である。続く“ダンスミュージック☆あいつ”ではハーモニカを披露し、名カヴァー“デイ・ドリーム・ビリーバー”を挟んでの“MIDNIGHT BLUE”ではマイクコードを使ったマイク回しまでキメてみせる。「去年の大晦日、俺は地味だったぜ。でも、今年はみんなの前で年越しだぜ」と言って、客席の写真をデジカメで撮る清志郎。こうした一つ一つから今夜が特別なライヴであることを感じずにはいられない。そして、前のサンボマスターを受けて、こう話し始める。「愛と平和、愛と平和だ。だから、みんなに聞きたいことがあるんだ……愛し合ってるかーい?」

こうくれば“Baby、何もかも”である。COUNTDOWN JAPAN04/05のときもカウントダウンの前に歌われた曲で、非常にスケールの大きい展開を持つ楽曲だが、この曲ではすさまじいスクリームまで見事に歌ってのける。そして、そのままジャム風なインターミッションに突入。この時点で2007年も残り5分。何度も清志郎はステージを去るように見せかけてはステージに戻ってきて、布団で眠りについて初夢を見ようとするも失敗し、最終的には結局04/05のときと同じく、演奏を止めてコタツでカウントダウン。こういうところも清志郎は変わらない。

一斉に客席に風船が落ちてきた“毎日がブランニューデイ”、スモークの柱が立った“ROCK ME BABY”、そして本編最後となった“雨上がりの夜空に”では火花が。アンコールは“上を向いて歩こう”。着替えを済ませた清志郎が楽しそうに歌っているのが嬉しい。「ミスター完全復活」、最初に清志郎を紹介したMCはそう最後に言ったが、彼は最後に客席の写真をもう1枚とって、ステージを降りていった。(古川琢也)