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 続いてGALAXY STAGEに登場したのは、艶やかな歌謡曲時代の“スター”の魅力と、ロック・バンドとしての逞しさを併せ持つ4ピース、椿屋四重奏。「こんな変なバンドなんですけど――」と中田(Vo/G)は言っていたけれど、一度ハマったら抗えない魅力を持っている4人だ。この日も、ジャジーなテイストを持つ“恋わずらい”、アグレッシヴな“幻惑”など、変幻自在のバンド・サウンドを連発。グレーのスーツに身を包んだ中田の色気ある歌声で、フロア全体の熱気をぐいぐいと引き込んでいく。

 中盤では、「ロック史に燦然と輝く一曲をカヴァーしようと思います」と、なんと沢田研二のカヴァー曲“勝手にしやがれ”をプレイ。しかも中田は、仕草や振り付けも、あの帽子を投げるパフォーマンスもジュリーそのまんまという完璧さだ。今の日本のロック・シーンを見回しても、きっと彼らのような志向や美学を持ったバンドは他にはなかなか見当たらないだろう。しかしそれが、セクシャルでドラマティックな、彼ら独自のロックのダイナミズムを生んでいる。ラスト“空中分解”まで、激しくもダイナミックなプレイを叩きつけ、去っていった4人。わずか40分のショウで、無上のカタルシスを生み出していた。(柴那典)