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去年、初登場にもかかわらずこのステージで入場規制を招いたサカナクション。今年は同ステージで堂々とトリだ。そして当たり前のように会場はパンパン。エレクトロなBGMをバックに登場した彼らは、まずは短いインスト・ナンバーで会場をウォームアップ。そして、そのまま“インナーワールド”。ダンス・フロアのエキサイトメントを取り入れた彼らのサウンドは確かにシンセを多用していてテクノ/ハウスの傾向が強いが、リズム隊がうねり出すグルーヴは実にファンキーでオーガニック(特にベースの草刈、カッコよすぎ)。あまりにも気持ち良いグルーヴに体が勝手に踊らされる。とはいえ、彼らの音楽はフィジカルな面だけでは絶対に語りきれないほど文学性とドラマに満ちている。たとえば、「セン=1000=宇宙とレイ=0=自分」の関係を歌った新曲“セントレイ”で顕著だが、山口の詩は哲学的であり、詩情に溢れていて、だから彼らのパフォーマンスにはフロアでは絶対に得ることできないセンチメンタリズムが潜むのだ。1曲の中で曲調がバラードからダンスからクイーン(?)にまで展開するエピカルな“ナイトフィッシングイズグッド”で本編ラストを飾ったサカナクション。アンコールではグルーヴィーなメンバー紹介を披露(ドラムの江島をふと忘れて笑いを誘ってた)。最後は切なく美しい“白波トップウォーター”でフィニッシュ。バンドの今後が楽しみで仕方なくなる、2008年を締めくくるに相応しいライヴだった。(内田亮)