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後方にドラムセット、上手側にギターアンプ、下手側にベースアンプ。潔い3ピース仕様のステージ上に登場したあんな(ボーカルベース)、まりな(ギターコーラス)、さとこ(太鼓の達人)。さとこのドラムが轟く中、「どうも日本マドンナです」とメンバーを代表して挨拶したあんな。1曲目は“幸せカップルファッキンシット”。巻き舌気味のヴォーカル、まりなのシャープなギターの刻み、ササクレたビートがバリバリとフロアを揺らす。「新曲、“アイドル”」とあんなが不遜なトーンで言い放ち、2曲目“アイドル”へ。パンチを利かせたサウンドにすっかり殺られたお客さん達が、腕を振り上げて踊り始めた。
「きれいごとや平和や優しさばっかりで埋め尽くしてしまうやつ、バンドやめろ!」、あんなが強烈な一言を放って始まったのは“バンドやめろ”。スピード感に満ちたサウンド、ストレートなメッセージにワクワク! 図太いビートがうねりながら虎視眈々と迫ってくる印象のある“クツガエス”。「だんだんおかしくなっていって、人間味のあるものがどんどんなくなっていって。だから歌います」というあんなの曲紹介を経て演奏されたのは“村上春樹つまらない”。あんなの歌声とまりなのコーラスが絶妙なポイントで一体となり、フロアを揺さぶる様が圧倒的だった。その余韻も冷めないうちにすかさず突入したのは“汚したい”。ヌケの良いメロディとビートに合わせてタテノリで踊ったお客さん達。ほとんど合間を挟まず、次々と曲が繰り出されていった。
「ありがとう。最後の曲をやります。新しい曲。私の歌は歌っていてどんどん辛くなるというか、破滅的というか。嫌になることもある。でも、だからと言って『笑顔でいよう』とかいう楽しい歌も歌えなくて。魅力も感じられなくて。それで作った曲です」とあんなが語り、最後に披露されたのは“これしかないのに”。渾身の力を籠めて絞り出すように歌われるヴォーカル、荒っぽいビートを奏でるバンドサウンドが強烈な印象を我々の胸に刻みつけた。演奏が終了すると、惜しみない拍手が彼女達に向かって送られていた。(田中大)