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開演前から本人が出てきてのリハーサルが始まる。2台のドラムが左右に配置されたバンド・セットが、それぞれの楽器の音量を確かめながら豊かなサウンドを生み出していく。それを聴いただけで「今日も間違いないだろうな」と思う。COUNTDOWN JAPAN2日目、MOON STAGEのトリを飾るのはトクマルシューゴ。リハーサルからステージを去ることなく、そのまま「お待たせしました。トクマルシューゴです。よろしくお願いします」という挨拶と共に本編に突入する。ライヴのオープニングを飾ったのは“Platform”から“Green Rain”への美しい流れ。テンポの早いハンドクラップから、彼ならではのリズム、彼ならではのアンサンブルが紡がれていく。「カウントダウンのイヴェントなのでカウントダウンしたい気持ちが強いんですけれども、僕の音楽は向いていないので」「非常にノリづらい音楽を持ってきています。今後も非常にノリづらい音楽を提供しようと思っているので、よろしくお願いします。でも、ZAZEN BOYSほどじゃないですよ」なんていう実に彼らしいMCも披露しつつ、日常の温度と、遠く離れた彼方への思いが同居する楽曲を次々と披露していく。彼の音楽が素晴らしいのは、ひとつひとつの楽器が持つテクスチャーが、どれも感情や感覚を映し出すものになっているからだ。お馴染みの“ラジオ・スターの悲劇”のカヴァーを挟みつつ、その真骨頂となったのが「新曲やります」と言って演奏された2曲の楽曲。「いい予感がしてる」と彼も言っていたけれど、メロディのフォーカスがどんどん定まってきているような、そんな印象を受ける。メンバー紹介を挟んで、本編最後は“Parachute”“Rum Hee”、そしてステージを去らないままのアンコール(?)ナンバーとなった“Malerina”という鉄板の3連発。2012年、おそらくリリースされるであろう新たな楽曲群に夢が膨らむ、素晴らしいステージだった。(古川琢也)