MOON STAGEの３番手は、昨年に引き続きCOUNTDOWN JAPANに出演のフィメール・シンガー、leccaだ。ファットなブレイクビーツの振動が轟く中、女性ダンサー陣とともにステージに姿を見せた彼女は、力強い歌とエレクトロのトラックがせめぎ合うハイブリッドなダンス・チューン“Jammin' the Empire”を繰り出す。なんとのっけから、年明け1/25にリリース予定のニュー・アルバム『Step One』からのナンバーだ。ベース、ドラム、キーボードにDJ（セレクター）という編成で、続いて披露されるのはオーディエンスを正面に見据えながらクリスピーなトースティングでバウンスさせる“品行崩正”。歯に衣着せぬ姿勢表明をさっそくぶち撒けてくれるleccaである。「2011年から2012年にかけて、とんでもない年をみんなが切り抜けてきたと思います。出会いと、別れと、どちらが多かったでしょうか？」と彼女は語って、重厚なストリングスのようにたなびくキーボード・サウンドに包まれた、強い絆と意志の形を紡ぐ最新シングル曲“Right Direction”を熱唱する。歌い終わるとともに大きく拍手が沸き、「ここで会ったのも何かの縁です！　うちらロックだよって人も、ジャンルとか関係ないです！」と、今度は一面にタオル回しの光景が広がるアップリフティングな“紅空”で熱い友愛のメッセージを導き出していった。攻撃的なまでに前のめりな姿勢で伝えられる愛。そうでなければならないポップ・ミュージック。そもそもレゲエというルーツから大きくジャンルの壁を飛び越えてしまっているleccaなのだからして、この辺りの有無を言わせぬ求心力はさすがというより他にないだろう。賑々しいサンバ・ビートでMOON STAGEの全員を右へ左へとステップさせる“ちから”で更に高揚感に拍車を掛けると、「もう会えないのが分かっているから言ってしまうんです。残された人はそう言うしかないんです。大切な人と別れてしまった人は、どうかまたそんな出会いがありますように」と、最後にはやりきれない思いをメロディに乗せる“マタイツカ”を、天にも届けという驚異的な声量で歌いあげるのであった。（小池宏和）