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カラリと空は晴れ渡り、灼熱の太陽があたりを照らすひたちなか。でも、ここWING TENTは不穏でザラついたロックンロールで塗りつぶされた。黒猫チェルシー、注目のRIJ初登場だ。まだ高校を卒業したばかりという彼らだが、そのパフォーマンスには「青臭さ」とか「フレッシュさ」は皆無。そのかわりにあるのは刺々しい危うさだ。初っ端から“黒い奴ら”“嘘とドイツ兵”で暴れまわったかと思うと、THE WHOの“マイ・ジェネレーション”を日本語訳してカヴァー。ドシャメシャなブルース・ナンバーの“おんぼろ”では「持ってるんやったらタオルまわせ!」とヴォーカル渡辺大知がお客さんを煽る。スローでへヴィな爆音ブルース“女にロック”では、身体をよじらせながら叫び倒す。濁流のようなガレージ・ロックに、喉もつぶれそうな渡辺のシャウト。かなり暴力的なサウンドなのに、不思議な色気が漂っている。それが黒猫チェルシーというバンドの最大の魅力なのだと思う。ラスト“正義感ある殺しは許される”では、渡辺が履いてた靴を脱いで打ち鳴らし、澤はギターを投げ捨てて帰っていった。お客さんにも、衝撃的なものを見たという余韻が残ったのではないだろうか。格好よかった。(柴那典)