メニュー


若きシンガー・ソングライター・清 竜人からバトンを受けたのは、若きロックンローラー・黒猫チェルシー。ギターのノイズから、爆音アンサンブルへとのっけからパンチ力のあるぶっといサウンドをPARK STAGEにお見舞いし、フロントマン・渡辺大知は学ランの前をガッとはだけさせながら、客席を指差し歌う。どっぷりとブルージーで、体を揺さぶるような歪んだギターとビートで攻める、“たんぽぽ”。10代、20代の、しかも普通にしていれば純朴そのものな好青年である彼らから、いかにしてこのアクのある、そしていい塩梅でルーズな音が出せるものなのか、不思議でしょうがない。“正義感ある殺しは許される”“黒い奴ら”、“ユメミルクソブクロ”と、曲が進むにつれて、なにやらケモノでも憑依したように、各パートの咆哮にすさまじいパワーと迫力が増していく。往年のギター・ヒーローを思わせるようなやんちゃななかに色っぽさがある澤 竜次のギター、淡々としつつも不思議なムードを放つ宮田岳のベース、ステージ上でめきめき進化を遂げているような岡本啓祐のドラムに、ステージをうろうろ、よれよれと徘徊するだけでも絵になるフロントマン渡辺と、個々がヒトクセあるところもまた、ステージ展開に面白さを加えている。
「九十九里からきました、黒猫チェルシーです」(渡辺)という最初のMCに、なぜ九十九里!?と思ったが、どうやら千葉で曲つくりの合宿だったらしい。「なので、いち早く新曲を届けたいところだけど」(澤)「――待っててくれ!」(渡辺)とのこと。新曲発表とはいかなかったわけだが、スタジオを飛び出してステージで思う存分、魔物(音)を解き放つような暴れっぷりは最高だ。ラスト“嘘とドイツ兵”まで、コッテコテに濃ゆい爆音・轟音ガレージ・ナンバーを連打して、オーディエンスの脳をガタガタと揺らしまくった。あっぱれ、黒猫チェルシー。(吉羽さおり)