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暑さのピークを過ぎて、のんびりとした空気が流れるSOUND OF FORESTにYO-KINGが登場。白いシャツにパンツというシンプルな姿で「あれ? ここってこんなに直射日光が当たったっけ?」と言いながらふらっと現れ、そのまま一人で“世界の元”を力強く歌い上げる。エモーショナルなハープソロが特徴的なアコースティック・ナンバーで、ひどく感傷的な気持ちにさせられる名曲だ。曲が終わり、舞台袖からフラワーカンパニーズのグレートマエカワ、DUKEアイプチ、渡辺シュンスケのおなじみのメンバー:インディアンズが登場。続いて今日のライブのテーマが「透明感」であるというMCで会場の笑いを誘う。相変わらず、冗談なのか本気なのかよくわからないこと言う、不思議な空気感を持っている人だ。そして“風に別れを”の後に、真心ブラザーズの“拝啓、ジョン・レノン”に続く「拝啓シリーズ」第二弾、今年7月にリリースしたばかりの“スペース ~拝啓、ジェリー・ガルシア~”を発射。シニカルなラップが身体に気持ちよく突き刺さる、痛快なロック・チューンで会場を更に盛り上げる。続いて「ロックンロールをやります」というMCから、軽快な“たまたま”をプレイ、オーディエンスをしっかりと揺らせてみせる。「俺たちはあなたたちの声援で伸びる男ですから」と、ゆるーい感じで煽り、かつてKinki Kidsに提供したポジティブなポップ・チューン“Hey! みんな元気かい?”へ。演奏中に起きたオーディエンス全員によるハンド・クラップによって勢いづいたYO-KINGとインディアンズは、更に小気味良いグルーヴで更にオーディエンスを盛り上げて、そしてその盛り上がりを受けて、更に軽快なバンド・アンサンブルをSOUND OF FORESTに響かせる。完全に彼らのペースだ。ラストは10月にリリースされるニューアルバムからの曲、“星の海”を歌いきり、登場の時のようにふらっとステージを後にした。アコースティック・ナンバー、ラップ、軽快なロック・チューン、ひたすらにハッピーなポップ・ソングと、いろんなタイプの音楽をやっているはずなのに、そのすべてが全く不自然に聴こえないのは、やはりYO-KINGの鳴らす音楽の根底に、彼独特の力の抜けた「ポジティブさ」が、しっかりと流れているからだろう。そんなことを思わせてくれる、始めから終わりまで、幸せがそこら中から溢れだしているかのようなハッピーなステージだった。(前島耕)