雷まで轟いたさっきの雨もMASTER LOWの頃には止んで、今は再び蒸し暑い夏の夜空が広がっている。ロック・イン・ジャパン・フェス2日目、レイク・ステージもいよいよ最終コーナーに突入だ。そして今夜のトリを飾ってくれるのは2001年に真心ブラザーズとして初出演して以来、今年で実に4回目の参戦となる「レイク・ステージ最多出演男」ことYO-KING! 19時5分ジャスト、ぶしゅーっ!と焚かれたスモークと共にYO-KING登場だ。 「オーライッ! お膳立ては仕上がったぜい! 今夜は特別なライヴにするぜ! みんなの声を空に轟かせてくれ!」と、のっけからYO‐KING に煽られてフィールドは蜂の巣を突いたような大騒ぎになってる。お――っ! わ――っ! ぎゃ――っ! と群青色の夜空に溶けていく大歓声! そして、そのその歓声をブチ破るドラムソロと共に“DREAM IS OVER”。この問答無用のロカビリー・ソングを受けて、速やかにホッピング大会がスタートだ。思い思いのエールを重ねあっていくオーディエンス。あちこちで「YO-KING!」コールが巻き起こる(男率高し)。阿吽の呼吸とでも言うか、YO‐KINGとオーディエンスが「ひとつになる」のがめちゃ早い。そして、「ひとつになった」私たちが共有してるのは、これ以上足すことも引くことも出来ない3ピース・バンドのかちっとしたフォルム。親しみやすく心の郷愁を誘うフォーキーなメロディ。ずばりはまるブレイク。なにひとつ難しい記号がなくて、浸透度の高い歌。そして熱い熱いロックンロール魂。そう、完璧なのだ。こうなったら後はもう、どこまでも上昇していくだけだ。 最初の白眉は“出来事”だった。「生きていく俺のまわりには/悪い奴なんて誰もいない/そうだろう?」。そんなかぎりなく性善説で素朴な歌が、たった3人の動力によってメロウなフォークから徐々に壮大なサイケデリアに移り変わっていく。素朴な気持ちが、大きな意思に育っていくのだ。そう、親しみやすい等身大の歌が、ふとしたタイミングを契機として高く飛翔してしまうのがYO-KINGの楽曲の魅力だ。こういうマジックがあるから、ロックンロールはカッコイイのだ。YO-KINGは、カッコイイのだ。ラストのインスト合戦には身体の芯から震えてしまった。 「降りてきましたね。今UFOが降りてきました、俺の上にも」。“出来事”で訪れたクライマックスの気分をそう説明してくれたYO-KING。茶目っ気たっぷり、でも揺ぎない自信にも満ち溢れてる。 「俺はバンドのメンバーを顔で選んでるからね」と、YO‐KING の爆笑メンバー紹介が始まる。かなり顔ネタで引っぱっている。こりゃ何かあるな……と思ってたら、やっぱり来ました。「いい顔と言えば、この男は最終兵器といっても過言ではありません! サンボマスター、山口隆!」 そうくるか! そういう伏線かっ! 昨日のレイク・ステージに伝説(c山口)を刻みつけた男の登場に場内はアホのように沸騰だ。 「みんな泣いたことあるでしょ!? 泣いたことあるでしょ!? 俺は間違いなくね、この男の歌に泣いたことがあるんですよォ!」。そんな山口の絶叫リスペクトMCと共に、最新シングル“審美銃”が雪崩打ってこちらに襲いかかってくる。YO-KINGの一語一語かみしめるようなヴォーカルに山口の咆哮がかぶさり、一気に竜巻となって舞い上がる。くぅーっ、もう「カッコエーッ!」としか言えん! 一転、“バトンが泣いてる”“遠い星と近くの君”はしっかり聞かせるモードで、4人の息がぴったり合ったバンド・サウンドで楽しませてくれる。特に“遠い星~”の山口ギター・ソロは圧巻。男前でした、マジで。 そして最終ラウンドは再びYO-KINGのギターにスイッチして“Hey! みんな元気かい?”“EVERYBODY NEEDS SOMEBODY NOW”“LIFE ”とキラー・チューンの連打だ。「初恋の相手を思い出して叫べ!」と再び下されたYO‐KING の指令を受けて、「好きだぁー! 好きだぁー! 好きだぁー!」と叫びまくるオーディエンス。もう何が何だか分からないことになってるが、とにかく楽しい! そして、いくら叫んでも叫び足りない、いくら踊っても踊り足りないオーディエンスの怒号に応えてアンコール、再びサンボ山口を交えての“空にまいあがれ”だ。今夜の沸点は、まだまだ遥か上空に設定されてたらしい。アリーナの後ろの後ろのそのまた後ろまでダンス・ダンス・ダンス! 今日1日、ここレイク・ステージにもさまざまな喜びや興奮のかたちがあったけど、YO-KINGのステージはまさにその「集大成」だった。文句なしで、ロック・イン・ジャパン2日目レイクの、完璧なフィナーレだった。 1. DREAM IS OVER 2. 高い空 3. 出来事 4. 審美銃 5. バトンが泣いている 6. 遠い星と近くの君 7. Hey!みんな元気かい? 8. EVERYBODY NEEDS SOMEBODY NOW 9. LIFE EN-1 空にまいあがれ そして現在20:08。まだ「YO-KING!」コールは収まる気配がないけれど、こうしてロック・イン・ジャパン・フェス2004の二日目レイク・ステージは幕を下ろしました。ちょっとセンチメンタルな気分になってしまうのは、フィールドに根を下ろしたみなさんの名残惜しい熱気のせいでしょう――なんてことを書いてたら、たった今、大輪の花火が上がりました! ワオ、ビューティフル! しかし、まだまだ「YO-KING!」コールは収まりません。すごい。 なにはともあれ、今日もお疲れさまでした皆さん! 降りそうで降らなかった雨に感謝しつつ、明日のフェス・ファイナルに向けて気力体力を再び充填してまいりましょう。それではまた明日! (粉川しの) |
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YO-KING のROCK IN JAPAN FES.クイックレポートアーカイブ