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PM12:05 強い日射しの中を通り抜けたキリンジの風
8/2 14:30 UP

 いやあ、今日は久々にいかにも「夏!」という感じで気持ちいいけど、ほんとに暑い。これからが暑さの一番のピークになると思うので、みなさん無理をせずに水分補給をしっかりとして、これからの出演アーティストも存分に楽しんでください。
 しかし、去年のステージを観たときも思ったのだけど、キリンジのライヴというのは、この暑さのなかを吹きぬけていく一遍の風というか、跳んで跳ねて熱狂的に盛り上がるというのとはまた別の気持ちよさをフェスにもたらしてくれるのだなと再認識してしまった。しかも、その風は淡々と吹き抜けていくのだ。ってのも、普通であればアーティストは出てこないサウンドチェックの段階で堀込兄弟いきなり登場。スタッフと一緒に一つ一つの楽器の出音を確かめていく。そして、そのまま何の前触れもなく1曲目の“僕の心のありったけ”に突入。まるで凪から段々と風を起こしていく感じというか、堀込兄弟のハーモニーがゆっくりとレイク・ステージに浸透していく。気持ちイイ。毎回思うが、変なコード進行なのに、この二人にかかると、それがすがすがしいメロディーとハーモニーの流れになるからすごい。なんかキリンジのライヴに行く度にメロディー感覚をアップデートされてるような感じがしてくる。そして2曲目はおなじみ“双子座グラフィティ”。サウンドチェックから徐々に吹いてきた風が、この曲で一段と強く爽やかなものになる。このままどんどん勢いを上げていくのかなと思ったら、お次は、ゆったりとしたテンポの“クレイジーサマー”で一休み。夏の日射しの中でかき氷が溶けていくように風景が淡い輪郭になるというか、そんな独特の美しさを湛えた曲。そして、この陽炎のような世界観を引きずったまま披露されたのが、今月シングルとして発売される新曲“カメレオンガール”。この曲は今までの譬えでいくと、陽炎も風も両方を兼ね備えている曲で、今日のような場所で聴いてると、爽やかさを感じると同時に、夏のこの暑さもぐっとこみ上げてくるというか、そんな曲だ。しかし、相変わらずキリンジならではの気持ちよさがあることには変わりない。そして、最後は再び風を響き渡らせる楽曲の2連発。“ムラサキ・サンセット”“the echo”。なんか今日のこの暑さを計算したかのように、すがすがしくトリップできるセットリストでキリンジのライヴは終了した。
 しかし、なにか煽るわけでもなく、オーディエンスに呼びかけるわけでもなく、淡々と演奏するだけで、その場の空気や風景を変え、オーディエンスを包み込んでしまうこの二人は本当にすごい。たったそれだけで今年の秋には武道館でライヴをやるようになってしまった。淡々と演奏をし、それをじっくり聴いてもらって、自分たちの世界観に引き込んでいくこと。最初にも書いたが、本当にフェスでのライヴのもう一つの形を改めて教えてもらったような気がする。(古川琢也)
キリンジで大盛り上がり大会!
目立ってました。

東京から来た4人組。「キリンジ良かった。
あっという間に終わっちゃった感じ」