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14:25 銀杏BOYZ、 セーラー服暴動! 8/1 16:20 UP

「日本の恥、銀杏BOYZです。長崎で子どもを突き落とした子だけじゃなく、誰の心にも住んでる心の中の化け物に届きますように」――オープニング、峯田はそう言った。レイクステージでは、風が強く吹き始める。一曲目に彼らが鳴らしたのは“日本発狂”だった。
しかし、いったい何からお伝えすべきだろうか? 正直、頭を抱えてしまうほど濃いライヴだった。あまりに衝撃的であまりに凄まじく、生々しく痛いステージがたった今、レイクステージでは繰り広げられていたのである。1月に解散したゴーイング・ステディ峯田和伸のソロユニットとしてスタートした銀杏BOYZが、4人組のバンドとして登場。待ちかねたお客さんの手拍子に招き入れられるようにして登場したメンバーのヴィジュアルは、レイクステージをどよめかせた。元メンバーでベースの安孫子はセーラー服、ギターの中村とドラムの村井は白い半袖シャツに黒いパンツの男子学生服姿、峯田はといえば――濃い緑色を基調とした膝上20cm(というか股下ゼロ㎝というべきか?)の超ミニスカートに白い半袖ブラウス、赤く艶めくリボンを襟元にあしらっている。笑うべきか顔をしかめるべきか、自分の感情のアウトプット回路が一瞬、混線してしまった。
そんないでたちだけでもドギモを抜くのに、あっという間に靴を脱ぎ裸足になって、パンツが見えるのも厭わずのた打ち回ったり、ギターを高い位置で抱えるようにしてかき鳴らし、ときには大口あけてマイクを飲み込む峯田。うっすらと化粧すら施した峯田。口から垂れたヨダレをぬぐうことなく口元に残したままで目を剥く峯田。その恍惚とも苦痛ともつかない放心&無我の表情は、グロテスクですらあり目を逸らしたくなると同時に、艶かしい強烈なオーラを放っていて、目を逸らすことも身動きを取ることもできなくなってしまった。
普段は決して外に出すことの出来ない、自分自身の内面で渦巻いているドロドロとした言葉にならない感情を、峯田はステージでぶちまけている。誤解して欲しくないのだが、それは、「捌け口として音楽をつかう」というのとはまったく違う。無意識に音楽に救いを求める若者の心を、実際に救っているのだと思う。「頑張れ」と励ましたり具体的なメッセージを放つのではなく、峯田の内面と同じように彼らの心の中に存在する「とぐろ巻くドロドロとして激情」を思うままに暴れさせ、解放する――そんな使命に対して、銀杏BOYZの音楽は実にひたむきだ。ときに笑ってしまうほどに大袈裟だったりMCが尋常じゃなく長かったり熱かったりするのも、きっとそのひたむきさと関係しているんだと思う。
2曲の新曲と“駆け抜けて性春”で暴れに暴れまくり、“銀河鉄道の夜”“青春時代”“BABY BABY”で激しいながらもセンチメンタルなあの峯田節を響かせた怒涛のステージ。「このカッコウをして自分が男だと初めて判りました。やっぱり男の血が流れてるんだね」「彼女と別れたというMCはウソ」「JAPANとか、音楽雑誌を信じないでください。誰も誉めてないけどなんかすげえ、という音楽を自分で探して欲しい」などなど、笑わせたり神妙になったり厳しかったり照れくさそうでかわいらしかったり――峯田のMCはゴーイング・ステディの頃から強烈にユニークだったが、更に磨きがかかっていた。しかし、とにかく濃かった。ヴィジュアル的にも音的にも、伝説的なステージを目撃してしまった興奮が、まだ冷めない。(大前多恵)
銀杏BOYZのお揃いの
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地元・茨城BOYZ
「銀杏サイコーでした!」