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16:43、客席からしゃぼん玉が飛ぶ中、「ようこそ! いぇーい!」とハナレグミ=永積タカシ登場! 客席から飛んだ「カッコいい!」の声に反応して「かっこいいかあ? ほんとかなあ?? こないださあ……ていうか、なんで俺、MCしてんだ?」とひとり突っ込みを入れる永積に対し、客席からはあたたかい笑いがこぼれる。なんだかすごくハートウォーミングだ。
1曲目は“音タイム”! あたたかい羊水の中にいるような、すべての緊張を解いてゆったりとくつろげるような、夢のような永積タカシのヴォーカルが、たっぷりとレイク・ステージを包みこんでいく。早くもピースフルな空気でいっぱいになった会場に、今度はアッパーなナンバー“レター”が響く。今年のハナレグミ夏フェス布陣であるASA-CHANG(Dr)、鈴木正人(B)、高田漣(ペダルスティール)が生み出すドライヴィンにスウィングするグルーヴと永積の声が紡ぎだすアンサンブルが、最高に気持ちいい。
永積は、本当に愛すべきシンガーだ。選ばれた人間だけに与えられた、この素晴らしき声。たまらなくやさしくて、たまらなくあたたかくて、でもすごく強くて、そしてちょっとだけセンチメンタルな、このプレシャスな声。なのに、その声で人々を魅了した直後には、まるでインチキ商人のような口調でユーモアたっぷりのMCを飛ばす。今回も「みなさん、3日間いらっしゃるんですか? 会社休みとって? いいなああーー!! 『なんだ、山田、休み取るのか?』『はい、そーです』みたいに??」と、ミニ寄席みたいな喋りをかまし、「じゃあ、全国の山田さんにこの歌を捧げます!」といって“さらら”を歌いだす。この人間味溢れるキャラクターと人間離れしたヴォーカリストとしての才能の落差が、ハナレグミの大きな魅力のひとつなのだ。
ライヴは、このままこの歌でカラダを包んで眠りに落ちることができたらもう最高なのに(気持ちよすぎて二度と現実に戻ってこられない気もするけど)……という“MUSICA”に、永積のアコギが軽快に飛び跳ねる“Wake upしてください”、そして寄せては返す波のようなバック・サウンドと永積の声のハーモニーによって、強力に「向こう側の世界」へと誘われる、最高のスロウ・ナンバー“家族の風景”……というセットで完全にハナレグミ・ワールド。みんなもう、うっとりと夢心地でハナレグミの世界を漂っている。最後はASA-CHANGらバック・プレイヤーが全員去って、永積ひとりの弾き語りによる“ハンキーパンキー”。はあ、思いっきり堪能しちゃった。夕暮れのひと時に、これ以上ないプレゼントをもらったような、そんなとても素敵なパフォーマンスだった。(有泉智子)

1. 音タイム
2. レター
3. さらら
4. MUSICA
5. Wake upしてください
6. 明日天気になれ
7. 家族の風景
8. ハンキーパンキー