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 さっきまで静謐感と豊穣さをあわせもった空気で満たされていたグラス・ステージ。しかし今ここに今立ち込めているのは「これから思いきり飛ぶぞ!」という熱い情念だ。昼下がりで気温の上がりきったグラス・ステージを、さらなる熱気で包んでくれるのは、2年連続の登場となる175R! 登場前のSE“モンキー・マジック”が始まって、お客さんの手拍子とともにメンバーが登場。それと同時にスタンディング・ゾーンでの密集度はぐっと上がって、熱いファンの層の厚さ、それが感じられて頼もしい(でも、くれぐれもケガのないように気をつけて)。
 SHOGOの初手からの「盛り上がっていこうぜ! “GLORY DAYS”!!」というコールにお客さんは大レスポンス! あの知らぬ者はいない「グローリー・デイズ!」のリフレインで、早速会場はひとつになってしまった。さらに“Freedom”、そして「この思いが、遠い遠いあなたへ届きますように」というMCではじまる“僕の声”。そのどれもにお客さんは燃え上がる。しかし、ただ単に熱くなってるだけではなくて、それぞれの経験、それぞれの思いを込めて、感じ入りながら熱くなっているのがわかる。そういうのは見ていれば分かるのだ。8ミリビデオをステージから構え、お客さんを撮って大喜びさせたSHOGOが言う。「すげえいい顔が見えますよ!」。SHOGOも分かってるのだ。
“夕焼けファルセット”、7月にリリースされたばかりの曲だ。違和感なく「日本のロック」とメロディック・パンクをハイブリッドできる彼らの強みが、いかんなく発揮された名曲だと思う。その175R的なハイブリッド感覚は、新曲“ピカソ”でも活かされている。西海岸のメロディック・パンク・バンドばりに分厚いコーラス・ワークが印象的な曲だが、そのコーラスひとつひとつのメロディがごくごく日本のロックのメロディなのだ。こうだから175Rは面白い。そして楽しい。
“Party”“空に唄えば”、そしてラスト曲は“ハッピー・ライフ”。読むだけで楽しくなってくる直球勝負な曲タイトル、不器用さすら感じさせるから余計に心を鷲掴みにする詞、そして若い奴をとことんピースフルにハネさせるビート、そして俺みたいなオッサンをとことん懐かしがらせるメロディ、どんなお客さんもひとつにしてしまうコーラス・ワーク。日本のロック、そして日本ならではのパンク・ロック、それらが歴史の中で培ってきた魅力のすべてが揃った175R印のアンセム3連発。圧勝だ。175Rの魅力は少年性にあるだろう。少年性を感じさせるパンク・バンドはたくさんいるだろう。しかし、風格すら感じさせる少年性を持つバンドはあんまりいない。圧勝だった。(柳憲一郎)

1. GLORY DAYS
2. Freedom
3. 僕の声
4. 夕焼けファルセット
5. 和
6. PICASSO
7. Party
8. 空に唄えば
9. ハッピーライフ