ずっと、この時を待っていた人が多いはずだ。2006年のツアー以来、大規模なライヴはほとんど無かったBUMP OF CHICKENがROCK IN JAPANのステージに、しかも2日目のトリとして帰ってきてくれた。真っ暗になったステージに赤い照明がゆっくり点って、メンバーが登場する。ギターを手にした藤原の奏でるアルペジオに、増川のストロークが応えて1曲目が始まった――“乗車権”だ! 続く2曲目“涙のふるさと”の「会いに来たよ」のフレーズが、手を振って応える数万人に染み込んでいくように思える。いつも通り、ちょっと猫背気味に目を閉じて歌う藤原の歌声は力強く、また一回り逞しくなったメンバーの演奏とひとつになって、どこまでも遠くへ優しさが伝わっていく。こんなに多くの人数の嬉しい気持ちが、寸分の狂いもなく合わさっている光景って見たことあるだろうか。そして数曲を挟んだ後半戦の“天体観測”“ガラスのブルース”“supernova”で、抱えていた気持ちが弾けるように数万人が拳を突き上げ、声を揃え、地面が揺れるほどピョンピョンと跳ねた。まるで最初から最後まで、今のバンプの生のエネルギーが伝わってくる最高の選曲だった。
そして、ステージに手を振る満員の観客を見て、MCで「しゃべっちゃうと、感情が言葉にできないから……」と胸を詰まらせた藤原が歌ったアンコール曲は、“ダイヤモンド”と……“はじめてのチュウ”(!)、そして“DANNY”。またひとつ、かけがえのない物語を受け取ったような、素晴しいステージをありがとう。(松村耕太朗)
BUMP OF CHICKEN のROCK IN JAPAN FES.クイックレポートアーカイブ