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昨日はバンド編成でGRASS STAGEに登場したトータス松本が、今日はLAKE STAGEに出演する! 一体どんなステージになるのか? 期待に胸を膨らませたお客さんが見守る中、登場したトータス松本は「はじめます! 一人で!」と挨拶した。今日のステージは弾き語りなのだ。トータス松本が、アコギを緩やかにストロークして始まったのは“どれだけの朝と夜を~シュアリー・サムデイ~”。昨日も演奏した曲だが、この弾き語りヴァージョンも堪らなく良かった。自身が奏でるギターと完全に一体となりながら、時には優しく語りかけるように、時には激しく高まりながら歌う様は、豊かなソウルと表現力の塊であった。
この素晴らしいパフォーマンスにお客さんたちも応え、2曲目“ワンダフル・ワールド”で、最高のシーンが生まれた。歌と演奏に合わせて、心地よいクラップがフィールドに広がったのだが、その音を聴くと、トータス松本はギターの演奏をやめた。そして、ギターをスタンドに立てかけてマイクを掴むと、お客さんの手拍子に乗りながら歌い出したのだ。自由自在にビートを感じながらステップを踏み、歌い上げるトータス松本の歌声にグッと来ずにはいられなかった。この場に集まったお客さんと、この瞬間だからこそ作り上げられた最高に美しいサウンドであった。
“よしゃいいのに”のようなソロ曲の他、ウルフルズの名曲“サムライソウル”なども飛び出したセットリスト。こんな濃密なステージを観られる贅沢さを、心から噛み締めたお客さんばかりだったと思う。「ステージは数十分で終わるけど、いつも大きなものをみんなから貰ってる。俺ら演者もそれに見合うものを届けられたら思います。あっ、今来た人がいるね。1曲だけ聴いていってよ!」。そして、始まったラストの曲“明星”は、お客さんによる手拍子に加えて、コーラスも響き渡る幸福なスペシャル・ヴァージョンとなった。この曲でもトータス松本がギターを置いて歌う場面があった。お客さんの手拍子とコーラスを伴奏に歌う彼の姿が、すさまじい喜びに満ちていた。
演奏を終えると、かぶっていた帽子を脱いで、坊主頭で深々とお客さんに向かって一礼。ステージ袖へと向かったトータス松本。観ていた我々も心を籠めたお辞儀をしたいくらいだった。素敵なひと時をありがとう!(田中大)