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一足早くスタンバイしたギター、ベース、ドラムのバンド・メンバーが早速奏で始めたのは“クリア!”のイントロ。お客さんが歓声を上げたところで、トータス松本が登場した! 緑色のラメのスーツを着たシルエットがスラリとしていてカッコいい。トータスは笑顔を浮かべて手を振り、遠目にも分かるほど真っ白な歯を光らせながら、ハンド・マイクでステージ上を軽快なステップで巡りながら歌い、冒頭から思いっきり盛り上げてくれた。
「熱中症にならないように水分補給してな。あとは盛り上がるだけや!」と軽く挨拶してからは、曲が次々届けられたが、トータス松本のソロは名曲の宝庫であることを改めて強く実感させられる。骨太のギターリフが黒々と光る“あいたいひとは誰?”。エモーショナルなメロディにグッと来ずにはいられなかった“ストレイト”。温かい愛に満ちた美しいソウル・ミュージック“涙をとどけて”……耳を傾け、身も心も揺らしている内に、暑さなんていつの間にかすっかり忘れてしまっていた。
「改めまして、トータス松本です。いや、トータス松本Bandやな」。言い直して挨拶したトータス松本。この言葉には、彼のこのバンドへの自信が窺われた。“どれだけの朝と夜を~シュアリー・サムデイ~”“よしゃいいのに”などが届けられた後半戦は、このバンドのパワーと表現力をまさにハッキリ体感させられる内容となった。途中のMCで「最近、男の声が増えたな」という嬉しそうであり、ちょっと寂しそうでもある発言が飛び出してお客さんの笑いを誘っていたが、「トータス松本Band」としてのパワフルな魅力が、汗臭い男の歓声を呼び起こしているのだと思う。
「やりたいこと、歌いたいことがまだたくさんあるんです。俺は音楽で生かされてきた。いつまでも歌っていたいわけよ」というMCを経て始まった“明星”が最後の曲となったが、大きな感動の輪が広大な客席フィールド全体に広がっていた。トータス松本は明日のLAKE STAGEにも今度は「トータス松本」名義で出演する。これも必見だろう。(田中大)