2009年のRO69JACK優勝バンドとしての出演から、3年連続ROCK IN JAPANのステージに立つ3人。今年はSEASIDE STAGEで、彼らのしなやかで攻撃的なロックを、集まった無数のオーディエンスの心に突き刺した。
1曲目の“闇に踊れ”から松本明人(Vo・G)が「行くぞ、ひたちなか!」とオーディエンスを煽る姿には、地元茨城出身の3人とはいえ、すっかりROCK IN JAPANを「ホーム」にしてしまった真空ホロウの貫禄を感じずにはいられない。太陽を指さしながら、吐き捨てるように歌う松本のシャープなボーカル、ファットなベースラインを繰り出す村田智史(B)、バキッバキのリズムでオーディエンスを躍らせる大貫朋也(Dr)。三者三様な佇まいながら、どこまでも彼らのサウンドには強いバンド感がみなぎっていて、それが松本の書くリリックの世界観を強烈に彩っている。
「太陽、似合っていますか?」「真剣な話をしようと思いましたが、やっぱり無理でした」とオーディエンスを笑わせる松本。一方の村田も、SEASIDE STAGEから太平洋に向かって「アメリカのみなさん、聞こえてますか? 真空ホロウですよー!」と、まるでサバンナ八木のようなことを言う。研ぎ澄ましたナイフのようなバンドサウンドと、どこか素朴さと天然の入り交じったMCとのギャップも、なんとも味わい深い彼らだ。
ラストは3人のカラフルなアンサンブルが鮮やかな“グライダー”でフィナーレ。この1年でさらに大きく飛躍した真空ホロウの充実した今を伝える、渾身のステージだったと思う。SEASIDE STAGEを吹き抜ける風に金髪をなびかせながら歌う松本の姿は、ニクイほど決まっていた。フィールドに軽く手を振ってステージを去った彼らに、オーディエンスは名残惜しそうにいつまでも拍手を贈っていた。(大山貴弘)
真空ホロウ のROCK IN JAPAN FES.クイックレポートアーカイブ