「僕らほんとに夏の曲も多いですし、夕方の曲も多いんですけど、こういうちょうどいいシチュエーションでやったことがなくて……」と、小出祐介が思わず中盤のMCで笑顔になるくらい、センチメンタル満載な夕景の中でスタートしたBase Ball Bearのステージ。ステージ中央で円陣を組んだ小出、湯浅、関根、堀之内の4人、いきなり1曲目からリリースしたばかりのシングル曲"yoakemae"でスタート! 湯浅のハイブリッドな音色が奏でるフレーズが、タイトな4つ打ちビートが、そしてひときわ凛として響く小出の歌が、闇もカオスも突き抜けた先のポップ・ワールドへとLAKE STAGEを導いていく。
そして必殺アンセム"changes"で熱いOiコールを巻き起こす! そもそもイントロが鳴った瞬間に視界を塗り替えるような鮮烈さを持っているBase Ball Bearの楽曲だが、結成10周年イヤー真っ只中の「今」に響く彼らのサウンドは鼓膜も身体を震わせるタフな躍動感に満ちているし、タイトなビートはLAKE STAGE丸ごとがっつりジャンプとダンスの渦に巻き込む強度を備えている。次は「新曲をやります!」という小出のコールから、8月31日リリースの新曲"short hair"へ! ソリッドな8ビートのロック・アンサンブルに乗せて《たくさん失う 時がながれゆく/それでも僕は、君を待ってる》と決然と歌う小出の姿は清冽さと同時に堂々とした逞しさすら感じさせてくれるものだ。
「まだまだ夏を満喫したりない感じですか! まだまだ濡れたい感じですか!」(小出)と"真夏の条件"へ雪崩れ込んでは、ひとりひとりの真夏の夜の夢とドラマとロマンをロックのエネルギーに変えてひたちなかの空に撃ち放っていくし、"ドラマチック"イントロではなんと湯浅にヴォーカルを任せ、嬉し恥ずかし感いっぱいの湯浅の「ひたちなかー!」の絶叫でさらにオーディエンスのハートに火をつける! 「まだまだ今日という日は終わっていませんが……まだまだ何も終わっちゃいませんが、あの曲をやらせていただきます」と小出が告げて放射したラスト・ナンバーは"祭りのあと"! 今ここで鳴っている音が、困難と希望がこんがらがった日本の「明日」の鼓動となりエネルギーとなっていく……ひときわパワフルに疾走するビートが、そんな実感を強く与えてくれた。(高橋智樹)
Base Ball Bear のROCK IN JAPAN FES.クイックレポートアーカイブ