


『ROCK IN JAPAN』出演7回目にして、THE BACK HORNが初のGRASS STAGEに立つ! フィールドを埋めつくした観衆からの盛大な手拍子に迎えられて、菅波栄純(G)は両手を高々と掲げて登場。岡峰光舟(B)、松田晋二(Dr)、山田将司 (Vo)と続き、まずは肩慣らし的なセッションで4人の波長をシンクロさせる。そして、じわじわと熱の高まったところで“コバルトブルー”へ! トサカを鮮やかな金髪に染めた岡峰はモニターに乗り上げて熱狂を煽り、すべてのエネルギーを体から絞り出すように、山田は全身をよじって声を限りに歌い叫ぶ。続く“戦う君よ”では真っ赤なライティングとあいまって熱狂値は乗算的に急上昇! 数え切れないほどのコブシが突き上がり、さながらGRASSフィールドは「4人 VS 数万人」のガチンコ・デスマッチの様相である。
「あらためまして、こんにちは!」と、最初のブレイクで松田がMC。「7回目の出演なんですけど、初めてGRASSやらせてもらってます! 毎回毎回、ライヴをやるごとに、そのライヴの大切さを実感してやってます。今しかない瞬間を確かめて、音楽の素晴らしさを確かめて、最後まで楽しい日にしましょう!」と力強く想いを伝える。また、別の場面では、「僕たち生きてる人間は、本当に一分一秒を噛み締めて生きていくことが、僕たちの役割だと思ってます。お互い一緒に生きましょう!」と、いつもにも増して熱いMCが続く。松田は福島県出身とあって、その言葉は切実なメッセージ性を帯びて胸に突き刺さるのだった。
何しろ、もうすべての瞬間がハイライトと言っても過言じゃないステージだったのだけれど、中でも“ひとり言”での、「僕は一人じゃない 僕は一人じゃない このままじゃいけない」と喉が千切れんばかりに叫び、遂にはステージ上をバタバタとのたうち回る山田のパフォーマンスには戦慄!(続く“空、星、海の夜”との、動と静のコントラストも鮮やかだった) また、「やっちまおーぜ! やらかそーぜ、オイ!!」と菅波が熱烈にアジテートして届けられた“涙がこぼれたら”でも、躍動的なビートにあわせて誰しもがジャンプ・アップ!と、沸点越えの瞬間が幾度も。ラストには、先の震災を受けて緊急配信されたバラード“世界中に花束を”を精一杯の想いを込めてプレイ。人間の抱える暗部にも真っ向対峙してきた彼らの描いた希望は、だからこそ力強く、また、輝かしくみんなの心に宿ったはずだ。(奥村明裕)

THE BACK HORN のROCK IN JAPAN FES.クイックレポートアーカイブ