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いきなり“ふりぃ”のパワフルなヴォーカリゼーションでLAKE STAGEを丸ごとでっかいクラップ&合唱へと導いてみせた阿部真央! まさに夏!といった出で立ちもさることながら、何よりその、ロックとポップをヴィヴィッドに体現するしなやかで鮮烈な歌声が、満場のオーディエンスの情熱の温度をがんがんと上げていくのがわかる。

“世界はまだ君を知らない”で、アコギをかき鳴らしながら軽やかに飛び跳ねてみせれば、あたり一面をもう止まらないハイジャンプ天国へと塗り替えていく。息つく間もなく“君を想った唄”では重力崩壊寸前の真摯な想いをLAKE STAGEの熱気の中へと解き放ち、“じゃあ、何故”では《あぁ baby どうしてあんな目をして僕を見たんだい?》とアカペラで高らかに歌い上げた声のヴァイブが、この場所を埋め尽くした1人1人の心をびりびりと震わせていく。阿部真央にとっても大きな進化作となったアルバム『戦いは終わらない』を経て、アーティストとして&エンターテイナーとして、よりカラフルで力強い表現力を獲得した彼女。観ているだけで視界をパキッとクリアに塗り替えてくるような快感が、今の彼女のステージにはある。

「この時間、阿部真央を選んでこの場所に来てくださってありがとうございます!」と、観客でいっぱいのLAKE STAGEをぐるりと見渡す。「8月っていうことで、夏の終わりの曲を歌ってもいいですか?」と、センチメンタル満載の名曲バラード“貴方の恋人になりたいのです”を聴かせ、凄腕揃いのバンドが繰り出す“ポーカーフェイス”の爆裂パンク・ビートを躍動感あふれる熱唱で乗りこなし、あふれんばかりの熱量を直球ロックンロール“モットー。”にそのまま注入する。

「今日みんなに会えてほんとよかった! 疲れてると思うんですけど、最後はみんなと跳びたいんですけど。協力してくれますか?」というコールから、ラストの“ロンリー”へ。目映いサビのメロディを全身で謳歌しながら高々とジャンプするオーディエンスに応えて、舞台の端から端まで歩き回りながら力いっぱい手を振る阿部真央。彼女が放射する歌とコミュニケーションが、この上なく大きく咲き誇った瞬間だった。(高橋智樹)