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ライヴ開始時間の20分前、サウンドチェックのためにステージに登場すると、本番でやる予定のない“POP!烏龍ハイ”を全力で演奏し、彼らのステージを楽しみに待つオーディエンスをガッツリ沸かせたモーモールルギャバン。そんなサービス精神全開の彼らに惹かれて、SOUND OF FORESTはおびただしい数の人で埋め尽くされている。ゲイリー・ビッチェ(Dr・Vo)もフィールドを見回し思わず「お前ら、本当にモーモールルギャバンで良いのか!?」と確認してしまうほど。しかし、SOUND OF FORESTにはモーモールルギャバンの勇姿を見届けてROCK IN JAPANの2日目を終えようという腹の据わった人しか集まっていないのだ。

そして、ライヴ本編はゲイリーとユコ・カティ(Key・Vo)のヴォーカルが狂おしく炸裂する“野口、久津川で爆死”でスタート。いきなりSOUND OF FOREST中がカオティックな熱狂に包まれる。「ベース、T-マルガリータのカラオケの十八番は、MOON CHILD。行ったれぇ!」という謎のMCから“ユキちゃんの遺伝子”に突入すると、ステージの熱気はさらに加速。赤いパンツ一丁のゲイリーの刹那的なドラムと、T-マルガリータ(B)のファットなベースライン、ユコ・カティのキーボートの音色が重なり、今にも空中分解しそうなスリリングなアンサンブルが、この上なく痛烈にフィールドを揺らしていく。かと思えば、「夏フェスで初めて、バラードやります」(ゲイリー)と“悲しみは地下鉄で”を演奏すれば、オーディエンスの手が一斉に揺れ、壮観な光景を生み出す。しっとりとしたバラードだって、ちゃんと響くのがモーモールルギャバンなのだ。「最後にモーモールルギャバンを選ぶ人がこんなにいるなんてね、この国はおかしいんじゃないか! まったく、アイ・ラブ・ユーだぜJAPAN!」とゲイリーが叫ぶと、ラストは“サイケな恋人”でフィナーレ。ユコ・カティは「ROCK IN JAPAN!!」と叫ぶながら銅鑼を乱れ打ちする。オーディエンスの巨大なハンドクラップと「パンティー!」コールでSOUND OF FORESTを爆笑と熱狂と感動に包むと、アンコールでは赤い公園の4人をステージに呼び込み、ゲイリーが彼女たちの肩に手を回して嫌な顔をされたりした後に“スシェンコ・トロブリスキー”を共演。異世界に引きずり込むかのような全力の怪演で、SOUND OF FORESTの最高のクライマックスを飾ってくれた。(大山貴弘)