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上半身裸、パンツ一丁、でもネクタイはしっかり着用……という、あからさまに怪しいゲイリー・ビッチェ(Dr・Vo)が先頭で登場し、歓声を浴びまくったモーモールルギャバン。T-マルガリータ(B・Vo)、ユコ・カティ(Key・Vo)はTシャツと短パン姿であり、ごく普通の感じを受けるが、1曲目"細胞9"が始まるや否や、全員一丸のサウンドで我々を一気に異世界へと叩き込んでくれた。シャープなビートに誘われて猛烈なタテノリ天国と化したフィールドから、土煙が絶えず上がり続ける。太陽より熱いパーティー・タイムがスタートした。

「ハートに火ついてますか? ハートに火をつけて踊れ!」というゲイリー・ビッチェのアジテーションで突入した"POP!烏龍ハイ"は、1曲目以上にさらなるハイジャンプを見せるお客さんが続出。しかし、理性を木っ端微塵に吹き飛ばし、踊らせまくる彼らの音楽なのだが、哀愁のメロディが絶妙に混じっているのが面白い。汗だくで踊っている内に、何だか涙腺までゾワゾワしてくる感触があるのだ。そんな魅力が冴えたのが、強力なダンス・チューンであると同時に、切ない恋模様がふと覗く"ユキちゃん"と"ユキちゃんの遺伝子"。メロディの叙情性にキュンとしてしまう瞬間が時折訪れる、何とも言えず不思議な曲たちであった。

「あと1曲で限界です。俺たちは先に逝く! だが、お前らは生きてくれ!」と汗だくの上半身を光らせたゲイリー・ビッチェが叫んでラスト・チューン"サイケな恋人"へ。この曲は紅一点のユコ・カティのヴォーカルが主体であり、哀愁たっぷりに聴かせていたのだが、途中でゲイリー・ビッチェがドラム・セットから離れ、ステージ前方に飛び出してラップをしたところで一転! ゲイリー・ビッチェに「全員パンティと言え!」と呼びかけられて、激しいパンティ・コールが沸き起こった。満足そうなゲイリー・ビッチェだったが、真っ昼間の太陽でたっぷり加熱されたステージの床を裸足で歩くもんだから、「熱い! 熱い!」とパニック状態で叫びながらドラムセットの椅子へと慌てて戻っていった。その光景に大喜びしたお客さんたちは、ますます激しくパンティ!と叫ぶ。強烈な日差しを受けたSeaside Stageは動乱とも言える状況を呈していた。(田中大)