UKが生んだ20年代最強インディ女子:ウェット・レッグ。プレッシャーを跳ね除けた愛と団結の傑作2ndアルバム『モイスチャライザー』を語ったロングインタビュー


現在発売中のロッキング・オン7月号では、ウェット・レッグのインタビューを掲載!
以下、本インタビューの冒頭部分より。



「前作から時間が経っているから、『2ndを作るって、プレッシャー?』とか言われたりしたけど、『そんなの感じないし、ビビってない! ゴチャゴチャ考えすぎないで、出たとこ勝負でやるだけ!』っていう感じ」


●23年のサマソニで、短いインタビューをさせてもらったんですが、覚えていますか? 暑くてガヤガヤしていたバックヤードで。

「もちろん覚えてる(笑)。あんな夏真っ盛りの時期に日本へ行ったことがなかったから。そう、湿気がすごくて、あの暑さはそれまで体験したことがないものだった。あとフードエリアも覚えていて、そこで他の出演者の映像が流れていて、それから取材エリアがあって、そこのテーブルで取材を受けたのも覚えてる」

●そこでリアンが「今のわたしたちは、ものすごく大きなパレットを手にできて、そこに用意されているたくさんの色についてよくわかっている」と言っていたのが印象的でした。『モイスチャライザー』はまさに大きなパレットを十全に使い切った素晴らしいアルバムですよね。

「パレットの例えは、今回のプロモーションで自分も使い始めていたから今言われてビックリ。そう、わたしとへスターが1stを作ったときはふたりだけで、バンドの他のメンバーがいなかったし、バンドとしての団結力もまだなかったから、今よりも色の数が少なかった。そして今は、バンドとして約2年におよぶ長期ツアーをやって、そしてわたしとヘスター、バンドのジョシュア(・モバラキ、G/Syn)、エリス(・デュランド、B)、ヘンリー(・ホームズ、Dr)という5人のキーカラーがあって、しかもツアーやレコーディングの経験もある。それにまず本当に、2ndを作るチャンスをもらえたことがとても嬉しい。こうやってアルバムを作る時間やリソースを与えられるバンドはそれほど多くないから、2枚目が作れること自体に興奮したし、この5人でどんなアルバムが作れるのかってことにもすごくワクワクしていたの」

●1st『ウェット・レッグ』にもパレットに色はたくさんあったけれど、それが抽象的にコラージュされている感覚でした。でも今作は、より肉感的で立体的なアートになったように感じます。本作に取り組む上で、あなたたちが意識した方向性はどういうものだったんでしょう?

「何だろう……たぶん意識していたことでいうと、ひとつしかなかったと思うけど、このアルバムに必要なのは自分たちがライブで楽しめる曲だっていうのがまずあって。それはウェット・レッグのモチベーションとしてわたしとへスターがバンドを始めたときからずっと持ち続けているもので、『絶対フェスに出たいよね!』っていうところにこだわっていたし、音楽云々よりも、どうやったらフェスティバルに出られるか、ライブができるかってことを考えていて(笑)。それで新作だけど、これも自分たちが毎晩演奏して楽しい曲にしたいっていう以外の意図はそれほどなかった気がする。だってもし、というか願望としては、このアルバムがうまくいって好評を得たら、かなりの回数演奏することになるしね」

●本作のレコーディング、および曲作りはいつから始まったんですか?

「23年の11月にツアーが終わって、クリスマスを過ごして、それで……24年の3月中旬くらいに田舎の家を2週間ほど借りて、機材を全部持ち込んで設置してジャムセッションをして、2週間くらい休んでいる間に録音した音源を吟味して、そしてまた2週間くらい同じ家に滞在して前回やったことの辻褄を合わせるっていう。それで24年の11月に、前作もプロデュースしてくれたダン・キャリーと再びスタジオに入って……だから3月から11月までは、さっき言った田舎でのジャムから生まれたアイデアを磨いたり仕上げる作業だった。前作から結構時間が経っているから『今回はじっくり時間をかけたんですね』とか言うジャーナリストもいたけど、自分たちとしてはそんなに時間をかけたつもりはなくて、周りから『2ndを作るって、メチャクチャプレッシャーなんでしょ?』とか言われたりもしたけれど、わたしは『全然、そんなの感じないし、ビビってない! ゴチャゴチャ考えすぎないで、出たとこ勝負でとにかくやるだけ!』という感じで(笑)。実際そうやって作った結果、納得するものができてよかった」

(以下、本誌記事へ続く)



ウェット・レッグの記事の続きは、現在発売中の『ロッキング・オン』7月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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