はだしで野山を駆け回るいきいきとした姿が焼きついて離れない。まわれ　まわれ　まわれよ、という劇中歌（“わらべ唄”）がずっと頭の中で鳴り続けて止まらない。もう、何度でも観たい！　と思わずにはいられない傑作『かぐや姫の物語』がついに公開された。「いつの日か日本を舞台にハイジを作りたい」と高畑勲・宮崎駿両監督はその制作直後に語り合っていたそうだ。なんでハイジがはだしで山を走り回っているだけであんなにわくわく心躍ったのか、その理由が40年を経てようやく本当にわかった気がした。

「生きる」ということに人間として徹底的に対峙したのが『風立ちぬ』だったとしたら、「命」そのものをアニメーションとして表現しきったような作品だと思う。赤子がすくすくとあっという間に成長するのは絵本でもおなじみだし、みんな知っていることだけど、それが喜びと同時にとてもせつなく感じるほどリアルに描写されすぎていて、涙腺がやばかったです。
ＣＵＴ最新号では、西村義明プロデューサーのインタビューを掲載中です。こちらもぜひ読んでください。（井上）