ギャラガー兄弟とマンチェ訛り


★発売されたばかりのRockin'on最新号のビーディ・アイの取材は、
皆さんもお気づきのように「電話」だった。

電話で会話をする場合、相手の表情(特に口の動き)が見えないので、
どうしても受話器から聴こえてくる相手の言葉の発音=「聴覚」のみに頼らざるを得ない。

特に今回のお相手=リアム・ギャラガーさんはマンチェスターの出身で、
「北部訛り」が未だにかなり強烈。

ご存知、マンチェ人の発音にかかると「ファック」が「フック」になり、
「パンク」は「ポンク」になり、「ダック」は「ドック」になる。
同じ単語でも発音だけではなくイントネーションまでかなり違ってくるため全く違う単語に聴こえることは、
何年も前からRockin'on誌上でもよく書いたので、
覚えている読者もいるかと思う。

昔イアン・ブラウンと電話で話していたときも、
今日は「マネー」がどうして、昨日は「マネー」がこうした、
的な話をやたらまくし立てているので、
なぜ今日はお金の話ばかりなんだろう、、、この人らしくないなぁ、、、。

と訝しがっていたところ、

どうやらイアンが言っている「マネー」は、「お金=マネー」ではなく、
「マニ(元ローゼズ/現プライマル・スクリームのベーシスト)」だった、
ことが途中で発覚!!!

途端にイアンは大笑い!こっちは大恥、、、。
なんて裏エピソードもあるくらい、電話だと特に聴き取りにくい。


★だがしかし、
ギャラガー兄弟も95年頃上京して以来ずっとロンドン在住。
いいかげんリアムの「マンチェ訛り」も直っているだろう。
事実ノエル兄貴のマンチェ訛りも、ここ数年は相当薄れて聴きやすくなってきたし♪

なんて油断していたのが甘かった。

今回はリアムが言っている「”Wigwam(ネイティヴ・アメリカンのテントの意/ビーディ・アイの曲名)”」を、

事もあろうに「Wig(カツラ) One」などと聴き間違えてしまった、、、。

リアムは途端に電話の向こうで大爆笑!!!
こっちは、、、(穴があったらマジで入りたい気分)。


リアムがあんなにゲラゲラ笑っているのを聞いたのは初めてだったけど、
ここで筆者の頭にふと浮かんだのが、

★「ノエルの訛りは以前よりかなり直っているのに、
リアムの訛りが未だに直っていないのは何故なんだろう???」
という疑問。

筆者も九州出身なので、
初めて上京した当時自分の「地方訛り」が気になったし、
カッペ丸出しでかっこ悪い、、、早く直さなきゃ。
な心理構造はよく判る。

だからこそ自分も必死で「訛り」を捨てる努力をしたわけだが、

この国に移住して気づいたのは、
英国人地方出身者の中には、
そういう世間体を気にした「自意識過剰」な努力を鼻でせせら笑い、
「俺はマンチェ/グラスゴー出身だよ。それの何が悪い?」
と言わんばかりに、
何年ロンドンに住もうが堂々と「地方訛り丸出し」で押し通すタイプも意外と多い(アラン・マッギーとか、プライマルのボビー&イネスとか)、という点。

つまり「他人の思惑なんか糞くらえ!」的な図太い神経の持ち主が多い、という意味なのですが、
判っていただけるだろうか?

日本人地方出身者と違い、彼らは世間体を気にしないし、
都会人の前に出ても劣等感を抱いたり、ビクビクしたりしない。
あくまで「自分は自分なんだ」と言わんばかりに堂々としている。

英国人地方出身者のそういう「強固な自己確信/俺は俺でいなきゃならない」精神にも、
実は密かに羨望の念を抱いたりします♪
児島由紀子の「ロンドン通信」の最新記事