松村の葬儀で、参列者に配られた写真

3月も後半なのに珍しく東京に雪が降った日、松村の葬儀が行われた。
親族と近しい友人だけの、本当に内輪だけの葬儀だった。
子供たちが一生懸命に作った、いいお葬式で、参列した誰もが子供たちの松村への愛を感じることができたのではないか。
そこで配られたのが、この写真だ。松村が作った年賀状だと思う。43年前、27歳の時のものだ。子供たちが遺品から見つけたものだろう。
撮影は斎藤陽一さんだと思う。毎年行われているロッキング・オン同窓会のメンバーで、カメラマンだ。葬儀にも参列していた。斎藤さんは松村より2歳年上だ。創刊に関わったメンバーで、松村が一番早く逝ってしまった。松村は良く、お前の弔辞は俺が読んでやると言っていた。煙草と酒を絶対に止められない人間だったが、僕より長生きすると100%信じていた。僕はそう言われる度に、きっと僕が松村の弔辞を読むことになるだろうな、と思っていた。面倒なので口には出さなかったけど。
出棺の時に棺を持ったけれど、予想より軽く、それがとても悲しかった。
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