自分は役目を終えたあと、どう生きるのか?というのが今作のテーマになっていて、老兵の倦怠と悲哀が全体に溢れている。“アメリカン・ヴァルハラ”の「死は呑み込みにくい錠剤だ」という言葉や、「人生を愛する気持ちが空っぽの浜辺そのものでも泣くんじゃない」と諭す“チョコレート・ドロップス”、「野生動物は決して理由なんか考えない やるべきことをやるだけさ」(“パラグアイ”)というゴスペル風コーラスが胸に刺さる。ポップ・スターとして最後まで時代と向き合い最先端の音を鳴らし続けたボウイが描かなかった「人生のその先」が歌われているというか。今の自分の急所を見せることで、イギーは現役アーティストとしてのひりひりするリアルな表現を生み出した。なんともイギーらしい。(井上貴子)
本当にラスト・アルバム? だとしたら美しすぎる
イギー・ポップ『ポスト・ポップ・ディプレッション』
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自分は役目を終えたあと、どう生きるのか?というのが今作のテーマになっていて、老兵の倦怠と悲哀が全体に溢れている。“アメリカン・ヴァルハラ”の「死は呑み込みにくい錠剤だ」という言葉や、「人生を愛する気持ちが空っぽの浜辺そのものでも泣くんじゃない」と諭す“チョコレート・ドロップス”、「野生動物は決して理由なんか考えない やるべきことをやるだけさ」(“パラグアイ”)というゴスペル風コーラスが胸に刺さる。ポップ・スターとして最後まで時代と向き合い最先端の音を鳴らし続けたボウイが描かなかった「人生のその先」が歌われているというか。今の自分の急所を見せることで、イギーは現役アーティストとしてのひりひりするリアルな表現を生み出した。なんともイギーらしい。(井上貴子)