自覚と成長の逞しきセカンド

サーカ・ウェーヴス『ディファレント・クリーチャーズ』
発売中
ALBUM
全英トップ10入り記録のデビュー作『ヤング・チェイサーズ』から2年、新世代UKギター勢の中でも際立って無邪気でピュアなガレージ・ポップを鳴らしていたサーカ・ウェーヴスが、一気に大人びた成長を遂げたのがこの2作目。スマパンやNINを手掛けるアラン・モウルダーをコ・プロデューサーに迎え、グランジやハードコアに接近したギターを試し、かつてのローファイでジャングリーな軽さにヘヴィでラウドな質量を加え、ストーナーのグルーヴを獲得するためリズム隊の強化を果たした本作は、イメージとしてはアークティック・モンキーズのセカンド『フェイヴァリット・ワースト・ナイトメアー』に近い覚醒作と言える。それをヘヴィ、ラウド、かつダークと表現するとアンチ・ポップ作と誤解されがちだけれど、サーカ・ウェーヴスが強いのは、彼らにはキエランという同世代の中でもずば抜けたメロディ・メイカーがいることだ。外からの圧で凹まされるほど彼のリリシズムは柔ではないし、むしろ肉体性の強化との相乗効果でメロディに前へ前へと掴みかかってくるような迫力が生まれている。その成長の真価はサマソニで証明してくれるはずだ。(粉川しの)