人形ではなく人間としての女

フィーヴァー・レイ『ブランジ』
発売中
ALBUM
フィーヴァー・レイ ブランジ
「スウェーデンのビョーク」との異名をとる、元ザ・ナイフのカリンによるソロの9年ぶりのセカンド。第二子の誕生で家に「縛られる」ことになった母としての体験が反映された前作はゴシック・フォーク×エレクトロとでも言うべきダークでファジィ、内省的なサウンドスケープが美しかったが、「飛び込む」という意味のタイトルが示唆するように本作はサウンド面でオープンかつビート重視、インダストリアル味も含む大胆なダイナミクスにシフトしている。サウンドの一部として扱われていたボーカルを前面に押し出したところも攻撃的だし、同性愛の享受を通じてセクシャリティ(ひいては人間としての)の自由を問う歌詞はトランプ以降強まっている父系社会の強大な壁を叩く。そのエッジーな刃を⑥で極めたところで、秀逸なインスト曲⑦を経て作品後半に軽やかさや叙情性が戻って来る多面性もさすがだ。女性という移ろう生き物を主体とする表現の、優れた一例だと思う。(坂本麻里子)
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