Salyu単独としては約１年３ヶ月ぶりのシングルであり、再び小林武史とタッグを組んだ本作は、壮大なストリングスで描かれるバラード“コルテオ〜行列〜”と、アコギの主旋律が牧歌的で温かな、映画『ハルフウェイ』の主題歌 “HALFWAY”の両Ａ面。雰囲気の違うどちらの曲も、印象に残るのはやはりSalyuの声の伝達力。「響く声」「透る声」、その声の質を表すには色んな表現があるが、Salyuのそれは、「降る声」だ。平行線を描いて届けられるものではなく、空とか天とか宇宙とか、遥か自分の頭上から全身に降り注ぐ。耳を塞いでも、細胞に直接染み込んでくるような圧倒的な声。元から空間を自由に行き交うことのできる声だったけど、そこにさらに「伝えたい」という意志による推進力が増した印象。≪くりかえす命のコルテオ（行列）／幾千の時空を超えて繋がってる≫という輪廻の世界も、≪あなたの夢も　あなたの声も　あなたのしぐさも　覚えてる≫という２人の世界も、美しく、永遠を感じさせる。歌うことへの覚悟と悦びを再び抱きしめ、もう誰も届かない高度まで、Salyuは上ってしまっている。（足達佳那子）