前作『PINK』が「NEOカワイイ!」や「コンプレックスはアートなり!」という新しい価値観を提唱した
CHAIの「象徴」となるアルバムだとすれば、今作『PUNK』はそのメッセージ性を深化させた「精神」のアルバム。取材などで彼女たちに会うと、いつだってチャーミングな笑顔を見せてくれるし、雑誌のグラビアベージをめくっては「カワイイ!」を連発しながら騒いでる。きっと、ずっとそうだったんじゃなくて、そうやって生きることを選んだんだと思う。以前は無自覚的な部分もあったかもしれないが、CHAIの活動を通じて自分たちが音楽で発信できる力に対してもっと掘り下げてみようと取り組んだことが今作から伝わってくる。《いつもとちがう/ごちそう並べよう》と唄う“ウィンタイム”を聴けば心の芯から温まるような気持ちになる。“ファッショニスタ”で《何を選ぶのもぜんぶIt's me》とリフレインされる度に自分が無敵キャラになる気がする。聴けば聴くほどCHAIの一員になれるようなスピリッツを得ることができるのだ。サウンドも更にファットにファンキーにグルーヴィに仕上がった、上出来のセカンド。(上野三樹)