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またもや藤井 風から名曲が届けられた。本人も出演する「い・ろ・は・す」のCMのために書き下ろされた曲である。全体の構成はとてもシンプル。最後はコード進行が変わるが、基本的には3つのパートが、歌詞も変わらないまま、繰り返される構成になっているのだ。アレンジも美しく響かせた「歌声」が主体で、人間にとって最も根源的である「身体」を最大限活かした仕立てになっている。そして歌詞では《離れなくちゃ》《置いてかなきゃ》《さよならするわ》と、別れのニュアンスを含む言葉が用いられている。“満ちてゆく”では「手放せば、満ちてゆく」といった生き方について歌われたが、“真っ白”でも曲名通り、削ぎ落とすこと、なくすこと、シンプルなところに立ち返ることで得られる豊かさについて、音と言葉で表現し届けてくれているように思う。
藤井 風の《真っ白な心に惹かれ》て、《真実》を見つめると、心の《真っ黒なところ》が消えていく。そうして聴き手は藤井《風にまた抱》きしめられるのだ。(矢島由佳子)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年5月号より)
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