成熟はすばらしいけれど

スターセイラー『オール・ザ・プランズ』
スターセイラー オール・ザ・プランズ
デビュー当初はコールドプレイに並ぶと称されつつ、2nd、3rdでは試行錯誤していた観もあるスターセイラー。1st成功の後、メディアによる扱いが手厳しくなったことに反発し『中傷する人に自己証明をしたくて』制作した3作目には特に力みがあったようだ。そんな前作から一変、4作目の今回の1stのプロデューサーを再び起用し、原点回帰と言える心境で制作。Voジェイムスもアコギ&ピアノを主軸とした曲作りに戻ったと言っているように前作のようなハードさは薄れ、全曲に共通するのはメロディとVoの声の美しさ。特に“ハーツ・トゥ・マッチ”の、田舎の大聖堂の中で1人ぽつんと佇むときのような冷たくも柔らかい感覚・響きは秀逸だ。とはいえ今作にもまだ物足りなさを感じるのも事実。確かに音の層や技巧は以前より洗練された。だが、初期に見られた、少ない音の狭間をすり抜けながらこちらに向かって肉薄するVoの気迫、荒削りながら聴く者を圧迫したあの美しい空気が今は足りない。成長した彼らの音を楽しみつつも、かつての未成熟ゆえの鋭さに再び胸を抉られたいとも思ってしまうのはぜいだくだろうか。(上田南)
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