荘厳なるメタルコアの王宮

キルスウィッチ・エンゲイジ『アトーンメント』
発売中
ALBUM
キルスウィッチ・エンゲイジ アトーンメント

アルバムの幕開けを飾るシングル曲“アンリーシュト”が轟いた時点で、あたかもメタルコアという表現形態を「ヘヴィ・メタルとハードコアの邂逅地にして傍流」から解放して超弩級の音の王宮を築き上げるかのようなアンサンブルの強度と広がりに、驚き感激することだろう。およそロックの歴史そのものを呑み込むかの如く脈打つ雄大なギターの音像。ジェシー・リーチの圧巻の咆哮にさらなるバイタリティを注ぎ込む強靭なリズムワーク。「俺たちが経てきた道のりや苦しみの中にあった粘り強さが投影された」と今作に寄せられたジェシーのコメントの通り、凄絶に渦巻くカオティックなサウンドのひとつひとつが黒光りするほどの美しさを獲得するに至った――そんな1枚だ。

2nd『アライヴ・オア・ジャスト・ブリージング』(2002年)以降長年在籍したロードランナーからメタル・ブレイドに移籍(北米以外はソニーと契約)して第1弾となる、前作『インカーネイト』以来3年半ぶりの通算8枚目。12年に脱退したハワード・ジョーンズとジェシーのボーカル揃い踏みが実現した“ザ・シグナル・ファイア”、テスタメントのチャック・ビリーを迎えた“ザ・クラウンレス・キング”といったコラボ曲群の迫力も光る。が、何より今作をバンド史を代表する傑作にしているのは、巨大な運命と対峙する人間の在り方そのものを楽曲化したような“アス・アゲインスト・ザ・ワールド”や“アズ・シュア・アズ・ザ・サン・ウィル・ライズ”の見果てぬ壮大さであり、不屈の闘志と尊厳を奮い立たせる“ノウ・ユア・エネミー”“テイク・コントロール”の微塵も淀みなく透徹した爆発力だ。結成
20周年のアニバーサリー・イヤーに、KSEは自らメタルコアの新たな金字塔を打ち立ててみせた。最高。 (高橋智樹)



詳細はSony Music Entertainmentの公式サイトよりご確認ください。

ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』9月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

キルスウィッチ・エンゲイジ アトーンメント - 『rockin'on』2019年9月号『rockin'on』2019年9月号
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