柔軟性とバランス感覚の勝利

ヒーロー『バッド・ブラッド』
発売中
ALBUM
ヒーロー バッド・ブラッド

デビュー作『ヒューマニック』の登場からちょうど1年後という比較的短いスパンで発売を迎えた第2作。とはいえ急造りという印象は皆無だ。なにしろ母国デンマークでの最初のシングル発売は2014年のことだし、それ以前から活動歴を持つ実力派ミュージシャン揃いであるばかりか、フロントマンのクリストファーは他のアーティストへの楽曲提供の実績も多い作曲家だったりもするだけに、今作も良質な楽曲が揃い、細部にまで神経の行き届いたバランスの良い仕上がりになっている。

前作収録の“スーパーパワーズ”が日本のラジオ・オンエア・チャート洋楽部門で首位を獲得している事実にも裏付けられているように、とにかくフックの強いコンパクトな楽曲作りの手腕が素晴らしい。しかも前作以上にダイナミクスが拡がり、ハードなエッジと透明感、エレクトロニックな要素とオーソドックスなギター・リフが見事なコントラストで共存共栄している。こうなってくると皮肉なもので、ある種の出来過ぎ感というか、この完成度がどの程度テクノロジーの恩恵によるものなのかが気になってきそうなものだが、先頃の来日時のネイキッドなサウンドでの好演からも彼らが骨格のしっかりしたバンドであることが実証されているだけに、少しも不安材料はない。そのライブでも起爆剤的な役割を果たしていた先行シングルの“アヴァランチ”のような疾走感溢れる曲もあれば、近年のメインストリーム系ヒット・ソングにヘヴィなリフが絡むかのような曲、踊れるロック・ソング、繊細さが光る曲、壮大な広がりを感じさせる曲もある。つまり“変化と起伏に富んだハイブリッドな好盤”と呼ぶうえで足りないものが見当たらないのだ。バンドのさらなる飛躍を確信させずにおかない1枚である。 (増田勇一)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』5月号に掲載中です。
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ヒーロー バッド・ブラッド - 『rockin'on』2020年5月号『rockin'on』2020年5月号
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