2018年の地元・神戸での初アリーナワンマンから、アルバム『フレデリズム2』を携えて計4シーズンに及んだライブシリーズ「FREDERHYTHM TOUR 2019-2020」、そして自身2度目となるアリーナ公演＝初の横浜アリーナワンマンへ、というフレデリックの道程はそのまま、時代の憂いをポップとロックに直結させ躍動させながら進化を遂げてきたバンドの軌跡そのものだった――ということを、その横アリ公演を全曲収録した今作は改めて思い起こさせてくれる。

最新EP曲“VISION”や『フレデリズム2』の楽曲群、“オドループ”などキラーアンセムのみならず、“峠の幽霊”など初期曲まで盛り込み、自らの音楽世界を壮大なワンダーランドとして咲き誇らせた一夜。アンコールの場面で、サブステージからメインの舞台へ伸びる光の道を歩く4人の姿は、微塵の迷いもなく前へ先へと音楽を突き動かしてきたフレデリックの象徴そのものだし、ラストの“終わらないMUSIC”の後で三原健司が掲げた「フレデリックは次のステージへ進みます」の言葉が不屈のポップ闘争宣言として胸に響いてくる。最高。（高橋智樹）

『ROCKIN'ON JAPAN』2020年8月号より