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活動休止からの復帰を経て、5年ぶりとなるニューアルバム。まふまふと言えば1stアルバム『明日色ワールドエンド』が16曲、2ndアルバム『神楽色アーティファクト』が20曲と毎回ボリューム過多なのだが、今回はなんと17曲×2枚組の全34曲に及ぶ。Xに「ボクに残されたすべての力を使って、誠心誠意制作中です」と投稿していた通り、将来の保険として出し惜しむことなく、今ある命と魂を削って生みだしたものを全部届ける。それしかできない。まふまふはそんな人間だ。今作はより深く心を抉り、よりたくさんの血を流して作り上げられたのだろう。曲調こそさまざまだが、その多くに生々しい苦悩や葛藤が刻まれ、希死念慮すら隠さない。すべてに嘘がなく、だからこその生命力と強烈なエネルギーを発している。夢中になって一気に聴き、最後に辿り着いた“ひともどき”で《人の形で人になれずに/呪って恨んだ世界を 愛してしまった》《この命を愛してしまった》と歌う彼に仄かな希望を見た。壮絶な作品だ。(後藤寛子)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年2月号より)
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