新年、世界的に大絶賛のツアーで来日するレディー・ガガ。クリスマスに秘蔵ライブ映像を公開。最新インタビュー映像も

新年、世界的に大絶賛のツアーで来日するレディー・ガガ。クリスマスに秘蔵ライブ映像を公開。最新インタビュー映像も - pic by Sachyn Mital pic by Sachyn Mital

来年年明け早々、1月21日から来日公演を控え、ドーム6公演がすでにソールドアウトとなっているレディー・ガガ。

https://www.hipjpn.co.jp/live/ladygaga2026/index.html
そのガガが、クリスマスイブに、なんと昨年収録した秘蔵ライブ映像を公開した。

約52分に及ぶ映像『Lady Gaga in Harlequin Live — One Night Only』は、『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』公開時にリリースされたアルバム『Harlequin』の発表に合わせ、2024年9月30日にロサンゼルスのBelasco Theaterで行われた一夜限りの特別公演を収録したものだ。同作の全曲をライブで披露する試みだったが、これまで映像は公開されてこなかった。

もともとは数曲のみ演奏する予定だったものの、結果的にアルバム全曲を演奏することになったというエピソードも、いかにもガガらしい。その直後に発表された『メイヘム』が大ヒットし、すぐに高い評価を受けたツアーへと突入したため、このライブの映像は長らくファンの目に触れる機会がなかった。

今回あらためて映像を公開した理由について、ガガは『Variety』誌で次のように語っている。
「今公開してもいいよね?って思ったの。私たちにとって本当に特別なものがあるんだから、それをファンと分かち合えるのがただただ嬉しくて。それに、ちょっと反逆的なプロジェクトでもある。ハーレクイン的な感覚で言えば、反逆的なものを出すには、クリスマスほど完璧なタイミングはないと思ったから」

『ジョーカー』の世界観に強く影響を受けた“ジャズアルバム”として制作された『Harlequin』のライブは、ガガのキャリアにおいても異色でありながら、確かな必然性を感じさせるものだった。

セットリストは以下の通り。

ACT1: “If a Nice Gal Can Lose What’s It Matter If You Win?”
1. Good Morning (Nacio Herb Brown cover)
2. Get Happy (Harold Arlen cover)
3. When the Saints Go Marching In

ACT II: “Life Is A Beautiful Thing (Sorta)”
4. I’ve Got the World on a String (Harold Arien cover)
5. If My Friends Could See Me Now (Cy Coleman cover)
6. That’s Entertainment! (Arthur Schwartz cover)

7. Smile (Charlie Chaplin cover)
8. The Joker (Anthony Newley cover)
9. Folie à Deux

10. Gonna Build a Mountain (Anthony Newley cover)
11. Die With a Smile
12. (They Long to Be) Close to You (Burt Bacharach cover)

さらにガガは、Apple Musicで行ったインタビューの中で、今年を振り返りながら、『メイヘム』ツアーの成功やアルバムへの評価、そしてザ・ウィークエンドとのコラボの噂についても言及している。

⚫︎『メイヘム』ツアーが大成功していることについて。

新年、世界的に大絶賛のツアーで来日するレディー・ガガ。クリスマスに秘蔵ライブ映像を公開。最新インタビュー映像も - pic by Sachyn Mital pic by Sachyn Mital

「本当にもう、このツアーは最高の時間を過ごしていて。言葉にするのが難しいくらいなんだけど、ファンのみんなと再びつながれることが本当にクールで、毎晩すごく大きな意味を感じてる。コミュニティの力が本当に輝いているのを感じるし、とにかく特別なんだよね。それに、毎晩このショーをやる中で、どうやって物語を伝えるか、毎回なにか違うものを見つけようとしていて。音楽を通してだったり、ショーの演劇的な要素だったり。あと、毎晩ピアノでちょっとずつ違うアレンジをするのもすごく楽しくて」

⚫︎長年演奏してきて、このツアーで特別な意味が見えた曲について。

「“ボーン・ディス・ウェイ”に立ち返ることは、私にとって本当に興味深い体験だった。あの音楽は、ニューヨークと私を結びつけるという意味で、すごく特別な存在なんだよね。
もう長いあいだニューヨークに住んではいないけれど、あの街は間違いなくアーティストとしての私を形作った場所で。だから、いま改めてピアノであの曲たちを演奏して、そこにある物語を掘り下げていくことが、とても新鮮で……本当に興味深い時間になっている。

こうしていると、そもそも自分がなぜ音楽を作り始めたのかを、何度も何度も学び直している感覚があって。それは、高校生だった頃に「自分は見てもらえていない」と感じていたことと、すごく深く結びついているんだと思う」

⚫︎アルバム『メイヘム』の高評価について。

「このアルバムを作るにあたって、私は『これはもう完全に自分のものとして引き受けよう』って、どこかで決めたんだと思う。

同時に、自分自身に言い聞かせてもいたんだよね。『これがあなたなんだ』って。自分に確信を持っていいし、自分自身を祝福していい。自分がどうやって音楽を生み出すのか、どういうふうに音楽を捉えているのか、どうプロデュースして、どう書くのか——そういうすべてを。

そう、なんというか……失うものは何もない、ただその意味で自分自身を引き受けてしまえばいい、って本当に感じていたんだと思う」

⚫︎来日公演の直後2月1日に発表されるグラミー賞で、アルバム賞、楽曲賞、レコード賞を含む7部門ノミネートされていることについて。

「パートナーのマイケルと一緒に、アルバムに参加してくれたミュージシャンたちみんなとあの場にいられること自体が、もう本当に嬉しい。とにかくあの場にいられるのが楽しみ。もちろんコンペティションではあるけれど、それでもただそこにいられることが本当に幸せだし、長い年月を経て、自分のミュージシャンシップを評価してもらえていることに、すごく感謝してる。

それに面白いのは、去年、ジャズ作品『Harlequin』を発表したところから、今こうして両方のアルバムでここにいられるっていうのが、すごくクールだと思う。だって、この2作は本当にまったく違う。でもどこか本質的に、カオスの中でこそ生き生きするところがあって、誤解されがちな女性たち、っていう共通点もある。

『Harlequin』では本当にいろんな面白いことをやったし、それが結果的に『メイヘム』で見せたショーの感覚に、自分をうまく入れてくれた。ジャズって、本当にまったく別の生き物みたいな音楽で。だからこそ、いろんなジャンルの音楽、いろんな“場所”で演奏できることに、心から感謝してるんだよね。それってまるで、違う銀河に次々と飛び込んでいくみたいな感覚で、完全に別の場所に迷い込めるようなところがあるから」

⚫︎現在予定されている4月でツアーは終わりなのか?

「終わりです。終わり。……まあ、終わりじゃなくなるまでは、ね。終わりということです(笑)」

⚫︎音楽制作を続けているということですが、来年に新作は?

「それは、これからどれくらい書き続けるか次第かな。でも、まったくありえない話ではないよ」

⚫︎ザ・ウィークエンド(エイベル・テスファイ)が最近インスタストーリーで、ガガを3、4回投稿していることについて。エイベルとのコラボがあるのか?

「エイベルのことは大好き。それだけしか言わない。私は本当に、本当にエイベルの大ファンだから」

新年、世界的に大絶賛のツアーで来日するレディー・ガガ。クリスマスに秘蔵ライブ映像を公開。最新インタビュー映像も - pic by Sachyn Mital pic by Sachyn Mital

すでにチケットはソールドアウトしているが、個人的にも『メイヘム』ツアーは、今年観たライブの中で確実にベスト10に入る内容だった。これまで何度もガガのツアーを観てきたが、今回のツアーは、彼女のキャリアにおけるひとつの頂点と言っていい。

何が素晴らしいかといえば、これまで彼女が経験してきた大ヒット作も、評価が分かれた作品も、そのすべてが、完璧な形でここに集約され、結実している点にある。それはアルバム『メイヘム』の世界観とも深く通じており、ガガ自身がインタビューで語っていた「これまでで最も自分らしさを祝福できた」という言葉を、ステージ上で明確に体現している。

新年、世界的に大絶賛のツアーで来日するレディー・ガガ。クリスマスに秘蔵ライブ映像を公開。最新インタビュー映像も - pic by Sachyn Mital pic by Sachyn Mital

相変わらずシアトリカルで、過剰で、ドラマティック。しかしそのすべてが、これまで以上の完成度で成立している。キャリア25年にして、ポップ・シーンの王道ど真ん中で、それをやり切ったという事実自体が、あらためて驚異的だ。

そして今年は、ザ・ウィークエンドのみならず、今年傑作を発表したロザリアから、今のポップ・シーンの中心的存在であるチャペル・ローン、またルーシー・デイカスといった若手アーティストたちが、ガガから受けた影響について語っていたことも印象的だった。レディー・ガガという存在が、いまなおポップ・ミュージックの現在地を更新し続けていることを、はっきりと実感させる一年だった。



中村明美の「ニューヨーク通信」の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on