再生を終えて、ひとまず深呼吸をした。あまりにも膨大な情報量、静と動を行き交い、多次元に振り回されるような爆発力、そして緻密な音一つひとつに込められた意志という熱量。もともとジャンルの枠にとらわれないバンドだけれども、それにしても限度があるだろ！とツッコまざるを得ない。あらゆる意味で超進化、限界突破したアルバムだ。

エモ、ハードコア、ブラックメタル、エレクトロニカ、トラップなどを縦横無尽にかけ合わせたエクストリームミュージックに、文学的な日本語詞や和メロが乗る異質感。宮田大作の地を這うようなシャウト／グロウルと、対象的に美しいメロディを歌い上げる小林亮輔のハイトーンボイスの存在感。カオスそのものの楽曲を人力で奏でるプレイアビリティ。どう頑張っても、どこか特定のカテゴリーに納めたり、わかりやすく紹介することができないわけだが、それははたしてマイナスだろうか？ 世界中の常識が変わり、ロックシーンの常識も変わり、既存のセオリーが崩壊した今。極東の日本で、新たな価値観を問う音楽が解き放たれたことを喜びたい。（後藤寛子）

『ROCKIN'ON JAPAN』2021年1月号より