理想的な成長を遂げた2作目

コミュニオンズ『ピュア・ファブリケーション』
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ALBUM
コミュニオンズ ピュア・ファブリケーション

今でこそ、南ロンドンなどを中心に活況を呈している英国インディ・シーンだが、思い返すと2010年代半ば頃は、イギリスに限らず、世界的にもインディ・ロックは苦難の時期を迎えていた。そうしたなかでも例外的に注目を集めていた地域が、デンマークのコペンハーゲンだ。

シーンの顔役であるアイスエイジを筆頭として、次々と個性的でプリミティブなロック・バンドを輩出した同地は、今や刺激的なインディ・ロックの磁場として世界中のリスナーから認知されており、熱い視線を集め続けている。

そんなアイスエイジらの次世代にあたるバンドが、コミュニオンズだ。オアシスストーン・ローゼズ、あるいはストロークスリバティーンズへの憧憬をストレートに鳴らした彼らのデビュー・アルバム『ブルー』はここ日本でも喝采を浴び、2017年にはサマーソニックへの出演を果たしている。

どうやら現在のコミュニオンズは中心人物のレホフ兄弟による2人組となったようだが、この4年ぶりとなる2ndアルバムの制作には、脱退しているメンバー2名も参加している。そうした意味で、今回のアルバムはコミュニオンズ第一期の集大成ともいえる作品となった。音楽性のリファレンスは1作目よりもグッと多様になり、時折聴こえてくるポスト・パンク風の鋭角的なリズム・アプローチやインダストリアルな音作りも耳を引く。

それでいて、思わずオアシスを引き合いに出したくなるメロディ・センスは健在で、オーセンティックなバンド・サウンドもさることながら、あくまでもキャッチーなポップ・ソングを突き詰めていくコミュニオンズの姿勢は、今作においても一切揺らいでいない。まさに理想的な成長を遂げた2ndアルバムだ。(渡辺裕也)



ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。
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コミュニオンズ ピュア・ファブリケーション - 『rockin'on』2021年6月号『rockin'on』2021年6月号
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