6ヶ月連続シングル発売（第6弾はそれまでの全シングル＋カップリング曲にボーナストラック2曲を加えたアルバムと同時発売）企画の第1弾。マーシー作の表題曲は《突っ走れ　明日へ》という反復を文字通りドライブ感溢れるギターによって加速させていくロックンロールナンバー。曲最後に披露されるハープソロ～ギターソロが抜群にかっこよく、2分台という曲の短さもあって、ついつい何度もリピートしてしまう。ヒロト作のカップリング“千円ボウズ”はナンセンスなリリックながら曲名を繰り返すサビの爆発力が痛快な逸品だ。これまで傑作を上梓したあとにはガラッと作風を変えてくることも少なくなかったバンドだが、今回は各曲極めて高いクオリティで統一された名盤『MUD SHAKES』の勢いがそのままキープされているのではないか。コロナ禍における社会を反映した大衆音楽が国内外の作家により生み出されてきている中、ザ・クロマニヨンズは「ロックンロールはいついかなる時も最高のアートフォームであり、それゆえ何ひとつ変わる必要がない」ということをその身をもって証明しようとしている。（長瀬昇）

『ROCKIN'ON JAPAN』10月号より