年内での活動休止を受けリリースされるキャリア初のオールタイムベストアルバム2作品。『SILENT』はポップ、『SIREN』はロックをコンセプトにメンバーがセレクトし、それぞれ既発曲31曲とボーナストラック1曲の計32曲を収録している。このフォーマットの中で過去曲を聴くと、彼女たちがポップな楽曲でもロックの要素を、ロック基盤の楽曲でもポップネスを忘れない、ハイブリッドなバンドであることを改めて痛感する。両盤とも曲順が時系列のため、初期曲の初々しい煌びやかさから、中期から近年の人を惹きつける華々しさへと移り変わるグラデーションを味わうのも一興だ。『SILENT』収録の“FAMILIA”はラストツアーに向けてファンへのメッセージを込めた新曲。打ち込みのビートと3人のシンセとバンドサウンドが織り成すポップナンバーは、爽やかかつ軽やかでありながらもどこか憂いを帯びる。そんなフラットな温度感と《私たちはもう何も　失わない》などの凛とした言葉たちは、我々との再会を真摯に約束するようだ。彼女たちの新章は、もう始まっているのかもしれない。（沖さやこ）

『ROCKIN'ON JAPAN』1月号より