ずっとライブが素晴らしそうなバンドだなと思っていたが、この新作を聴いてそれは確信へと変わった。ブルックリンの横断的異能音楽集団、アクロン/ファミリーのサード。6月に遂に初来日を果たすが、ジョアンナ・ニューサムの来日公演が中止になってしまった今、最も楽しみにしているライブである。ツアーでステージに掲げられてきたというアメリカ国旗を使ったジャケットや、レーベルを「Dead Oceans」に変えた事実からも顕著だけれど、このアルバムはまさにバンドにとっての新章。今までは過去の音楽に対して誠実に向き合おうとするあまり、縦横無尽な音楽性の融合を構築美によって行なおうとしていたところがあるが、今作はもっと肉感的。様々な音楽の文体を頭ではなく身体で扱っているのが手に取るように伝わってくる。おそらくアメリカ本国では新時代のサイケ・バンドとしてかなりの評価を受けることになるだろうが、グラスルーツでありながら進歩的という極めて特異なバンドだ。NYアンダーグラウンドというと、どうしても実験性が先に立つイメージがあるのだけど、このバンドはそんな地平を軽々と突破している。(古川琢也)