小さな巨人、現る

Any『102』
Any 102
「大器晩成」という言葉を、こっそり赤い二重線で訂正したくなった――そんな大きな可能性を秘めた19歳の3ピース・バンド、その名もAny。《砂場で拾った赤いシャベルで 君のカナシミをすくってあげたいな》――静謐なアコースティック・ギターにのってのびやかに歌うオープニング“episode♯1”や3曲目“僕のダイアリー”を初めて聴いた時、その普遍性とスケールの大きさに驚いた。詞曲を手がけるVo&Gの工藤は、RADWIMPS等を輩出した横浜ハイスクールミュージックフェスティバルで2年連続優勝していて、誰もがはっとする才能のきらめきを静かに放っている。初対面で挨拶した時に、彼は「音楽を仕事にできていいですね」とぽつりと言った。まるであどけない子供に、「生きててよかったね」と言われたように、どきっとした。そうか。うん、そうだよなあ……。Anyの音楽とは、まさにそのようなものだ。日々の中で見過ごされた幸せや過ちや悲しみを赤いシャベルでさらりとすくい上げ、純度の高い「本当」だけを砂金のようにろ過してゆく。とても美しい出発点だ。(井上貴子)
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