表題曲“SOUVENIR”は、斬新なサウンドデザインに驚かされる一曲だ。この曲では、衝動的なスピード感が緻密な音の構築によって生み出されている。2曲目の“クロノスタシス”は配信でリリースされてから1年が経っているが、色褪せない。宇宙を故郷に持つような不思議な音色のイントロから、鮮やかな音楽空間が生まれる。そして、3曲目の“窓の中から”は「物語を音楽に託す」という彼らの初期からの手法の最新系。この曲はテクスチャーや空間性で魅せる前2曲とは違い、一曲を通して描く雄大な抑揚、壮大な展開に飲み込まれる。3曲ともに現代性と実験精神を兼ね備えながら、同時に「歌」や「声」というBUMP音楽の永遠不変の主役が、やはり肝となっている点が素晴らしい。(天野史彬)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年6月号より抜粋)
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