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リュックと添い寝ごはんが描く何気ない日々は、どうしてこんなにも温かい光を放つのだろう。バンド初のドラマタイアップ曲“Be My Baby”は、見逃してしまうようなふとした日常の描写から、「あなた」への想いの大きさや共に日々を過ごせることへの喜びがありありと伝わってくる。2ndアルバム『四季』から地続きの、まさに彼らの真骨頂とも言える楽曲。なのだがこの曲には、喜びの裏に物悲しさが、穏やかな心の奥に強い意志が見え隠れする。たぶん彼らは、この日常が永遠に続くものではないと知ったのだ。《あなただけを思っていたい 続く今が幸せで/他に何もいらない いらないの 強く抱きしめていたい》。曲中で何度も繰り返されるサビのフレーズがあくまで願望なのは、あなただけを思い続けられるか、抱きしめ続けられるかは誰にもわからないから。人生は刹那的で、幸せな時間はあっという間に過ぎていく。しかしそれを知っているからこそ、今この瞬間が余計に愛おしく、輝かしく感じられるのだ。(藤澤香菜)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年9月号より抜粋)
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