リュックと添い寝ごはんが今、大きな転換期を迎えている気がする──ポップでありながら深みのある“天国街道”“未来予想図”を聴いて
2024.02.04 12:00
昨年ライブで聴いたリュックと添い寝ごはんの新曲“天国街道”。オリエンタルな風情を湛えていながらもEDMか?と思うほどのダンスチューンとしてフロアを異常な熱気に包んでいてリュクソの新境地を感じたこの曲、MVはもっと異常な熱気に包まれていて笑ってしまった。
中華風のサウンドをそのまま視覚化したような映像には「ジャッキーちゃん」も出演するほどのふざけっぷりだけれど、決してただのコミックソングではなくて、聴けば聴くほど味のあるサウンドがたまらなくて、何度も何度もリピートしてしまう……というのは僕だけじゃないはずで、それが公開3週間で40万超えという再生回数に表れている。
昨年夏に公開された“Be My Baby”では謎のバンド「Ladies Umbrella」に扮するし(衣装はみんなで下北に買いに行ったらしい)、ドラムの宮澤あかりはなぜかサウナ熱波師の資格を取っているし、メジャーデビュー日には恒例の「気配斬り」大会を繰り広げているしで、リュクソの4人から漂うラフなあったかさはずっと変わっていない。でも、彼らが生み出す曲は今、どんどんポップでありながら「深み」みたいなのが増しているように思う。
カロリーメイト WEB ムービーに起用された新曲“未来予想図”もそうで、代表曲“ノーマル”や“青春日記”に並ぶ青春真っ盛りのポップソングだけれど、“ノーマル”が高校生だった彼らのむき出しの初期衝動が詰め込まれた曲だとしたら、“未来予想図”は少し大人になった彼らが、思春期真っ只中の悩んで迷って泣いて笑って、それでも光に向かって手を伸ばす学生たちに向けて「未来予想図」をそっと手渡すような曲で、6周年を迎えた彼らの着実な歩みを確かに感じる。
3月20日には待望の3rdアルバム『Terminal』のリリースが決定。鉄道やバスなどで使われる「ターミナル」という言葉は、「終点」という意味も「始点」という意味も持つ。きっと『Terminal』はこれまでのリュクソの集大成であり、またひとつ大人になったロックバンドとしての新たな宣誓のようなアルバムとして、現在/過去/未来、すべての青春の日々を美しく奏でるのだろう。(畑雄介)
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