最大のトピックとなったのは、バッド・バニーが、スペイン語アルバムとして史上初めてアルバム賞を受賞するという歴史的快挙を成し遂げたことだ。
また、ケンドリック・ラマーは惜しくもアルバム賞は逃したものの、レコード賞を含むこの日最多となる5部門を受賞。これにより、キャリア通算の受賞回数は27回となり、これまでJay-Zが持っていた「ラッパーとして最多受賞記録」(25回)を更新し、史上最多受賞ラッパーとなった。
ロック部門では、ザ・キュアーがキャリア初となるグラミー賞を受賞。結果として今年は2部門での受賞を果たした。さらに、ハードコアシーンを代表するターンスタイルも、初のグラミー賞を2部門で受賞する快挙を達成している。
結果はこちら。
https://pitchfork.com/news/grammy-winners-2026-see-the-full-list/
主要4部門の結果は以下の通り。
⚫︎アルバム賞:バッド・バニー『Debí Tirar Más Fotos』
Clipse, Pusha T & No Malice:『Let God Sort Em Out』
Justin Bieber:『SWAG』
Kendrick Lamar:『GNX』
Lady Gaga:『Mayhem』
Leon Thomas:『MUTT』
Sabrina Carpenter:『Man’s Best Friend』
Tyler, the Creator:『CHROMAKOPIA』
⚫︎レコード賞:ケンドリック・ラマー&SZA “luther”
Bad Bunny:“DtMF”
Billie Eilish:“WILDFLOWER”
Chappell Roan:“The Subway”
Doechii:“Anxiety”
Lady Gaga:“Abracadabra”
Rosé & Bruno Mars:“APT.”
Sabrina Carpenter:“Manchild”
⚫︎楽曲賞:ビリー・アイリッシュ”WILDFLOWER”
Bad Bunny:“DtMF”
Doechii:“Anxiety”
Huntr/x:“Golden”
Kendrick Lamar & SZA:“luther”
Lady Gaga:“Abracadabra”
Rosé & Bruno Mars:“APT.”
Sabrina Carpenter:“Manchild”
⚫︎新人賞:オリヴィア・ディーン
Addison Rae
Alex Warren
KATSEYE
Leon Thomas
Lola Young
The Marías
sombr
⚫︎受賞数:
ケンドリック・ラマー:5
バッド・バニー:3
レディー・ガガ:2
レオン・トーマス:2
SZA:2
ザ・キュアー:2
ターンスタイル:2
FKAツイッグス:1
クリプス:1
ドーチー:1
昨年は、長年アルバム賞を受賞できずにきたビヨンセが、ついに同賞を受賞するという象徴的な出来事があった。かつて多くの批判を浴びてきたグラミー賞の“過ち”が、会員構成をよりダイバースかつ若い世代へと刷新することで是正され、その成果がここ数年、表れ始めているように思う。
さらに今年からは、ラテン・グラミー賞に投票していた会員も本体のグラミー賞に投票できるようになった。そうした新会員の参加が、今年の結果に確実に反映されているのは間違いない。グラミー賞は、明らかに前進している。
また今年は、アメリカにおける移民政策、とりわけICE(米移民税関捜査局)の強硬な取り締まりが大きな社会問題となる中で、それに反対するメッセージも数多く発信された。「ICE OUT」と書かれたピンを身につけるアーティストが続出したほか、スピーチの場で直接言及する例も相次いだ。
バッド・バニーは、スピーチの冒頭で「神に感謝する前に言いたい。ICE OUT」と切り出し、会場から大きな喝采を浴びた。
「俺たちは野蛮人じゃない。動物でも、エイリアンでもない。俺たちは人間だ。アメリカ人なんだ。今の時代、憎まずにいるのは本当に難しい。時々、俺たちはその空気に汚染されてしまう。憎しみは、さらに憎しみを重ねることで、どんどん力を持ってしまう。
でも、憎しみより強いものがひとつだけある。それが愛だ。俺たちは彼らとは違うやり方で戦わなきゃいけない。愛と共に。彼らを憎むんじゃなく、仲間を、家族を愛する。そういうやり方で。
それを忘れないでほしい」
さらに、ビリー・アイリッシュも、「盗まれた土地の上では、誰も“不法”な存在ではない」と語り、「だから言いたいのは、ファックICEってこと」と、強い言葉で抗議の姿勢を示した。
また、SZAも、「どうか絶望しないで。今はとても不安な時期だということは分かっている。でも私たちは前に進める――私たちにはお互いが必要。私たちは政府に支配されているのではなく、神に導かれているのだから」と語り、会場にポジティブなメッセージを届けようとした。
新人賞を受賞したオリヴィア・ディーンも、次のように語った。
「私は、移民の孫として、ここに立っています。彼らがいなければ、私はここにいなかった。だから……私は彼らの“勇気”の産物なんです。そうした人たちは称えられるべきだと思う。私たちは、お互いなしには成り立たない。ありがとう。本当にありがとう。愛しています。ありがとう」
さらに、今年は心に残るパフォーマンスが数多く披露された。
● ジャスティン・ビーバー
舞台裏からステージへと向かう演出は、まるでボクサーがリングに上がる瞬間を思わせるものだった。緊張感と覚悟をまとった佇まいのままステージに立ち、強度の高いパフォーマンスを見せた。
⚫︎スーパーグループによるオジー・オズボーン追悼。
● ローリン・ヒル
1999年以来となるグラミー賞のステージに立ち、ディアンジェロ、ロバータ・フラックへの追悼を捧げるパフォーマンスを披露した。
そのほかにも、レディー・ガガ、サブリナ・カーペンター、タイラー・ザ・クリエイター、ブルーノ・マーズ、ファレル・ウィリアムズなど、印象的なパフォーマンスが次々と続いた。
まだ触れきれていない見どころも多いが、ひとまず速報としてここまで。全体を振り返る雑感などは、改めて書きたい。
https://www.wowow.co.jp/music/grammy/
去年は、ケンドリックがグラミー賞を受賞してその翌週にはスーパーボウルのハーフタイムショーでパフォーマンスしたが、今年は、バッド・バニーがグラミー賞で頂点に立った後、来週には史上最高の視聴者数を記録するハーフタイムショーでパフォーマンスを披露するという流れとなった。